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Startup School #2 | 投資家の選び方(事業開始時〜プレシード期)

2021/06/07


Zak Murase

Executive Advisor, Plug and Play Japan


事業開始時〜プレシード期の資金調達

多くのスタートアップにとって、資金調達というのは初めての経験です。いつ資金調達をすべきなのか、いくら調達すべきなのか、どんなプロセスになるのか?

しかし何よりも重要なのは、どのような投資家から調達するのかです。

スタートアップがビジネスをスケールさせていくにあたって、起業家と投資家との関係、特にリード投資家との関係は時に結婚に例えられることがあります。
ビジネスを成長させていくうえで良きパートナーに出会えるかどうかは、そのスタートアップの命運を左右することさえあります。それほど重要な投資家選びですが、起業家は自分のプロダクトやサービスに時間を取られ過ぎて、投資家選びに十分な時間をかけていないケースも見受けられます。

本稿ではスタートアップのステージごとに考えるべきキーポイントを2回に分けて解説します。

前半の本稿は、事業開始時〜プレシード期にフォーカスします。

自分に合ったエンジェル投資家を探すには

まだ事業を始めたばかりでも、ある程度のところまでプロダクトの構想やプロトタイプができてくると、資金が必要となってくる局面に来ます。
どんなリスクがあるのかわからないこの段階では、なるべく自己資金で賄うか、家族やあなた個人をよく知っている親しい友人、前職の上司など信頼できる人に頼れるのが理想ですが、もし外部に資金援助を求めなければならない場合にまず当たるべきはエンジェル投資家です。

最近は日本にもだいぶエンジェル投資家の数は増えてきました。エンジェル投資家の多くは元起業家であったり、既に成功したスタートアップの初期の社員だったりします。
こうした人たちは自分自身がスタートアップを成長させてきた経験を持っているので、初期の起業家に対して理解があるだけでなく、貴重なアドバイスをくれたり、また他の投資家や顧客を紹介してくれたりすることもあります。

自分に合ったエンジェル投資家を探すには、まず自分がやろうとしているプロダクト、ビジネスの領域、あるいは近しい領域で既に成功している人や、そういったスタートアップに投資している人を探してみましょう。
資金を出すエンジェル投資家としても、自分の経験やネットワークが活かせるスタートアップを手伝いたいと思いますし、それによって彼ら自身も投資におけるリターンの確度を上げることができるわけです。

ある程度投資家をリストアップしてみたら、まず自分の知り合いに繋がっている人がいないかを探ってみるのがいいでしょう。TwitterなどSNSでの発信がアクティブなエンジェル投資家であれば、いきなりDMで連絡をしても話を聞いてくれるかもしれませんが、忙しい人であればあるほど問い合わせも多いので、ある程度お答えする先の取捨選択が必要になります。

その時に全く知らない人からのコールドコンタクトよりは、知り合いに紹介してもらった人の方が話を聞いてもらえる可能性は高くなります。

あなたがどんな人物で、なぜこのスタートアップをやっているのか

うまく繋がることができたら、そこからはお見合いです。
あなたのプロダクトやビジネスを売り込むことはもちろんですが、一番重要なのは等身大のあなた自身を見せること、そして正直であることです。

この段階でプロダクトもビジネスも未熟であることは投資家側も承知しています。エンジェル投資家は、まずあなた自身がどんな人なのかを知りたいのです。これからどんなプロダクト、ビジネスになるのか先が見えない中で、エンジェル投資家がリスクを取ってでも投資をしたいと思うのは、何よりも起業家としてのあなた自身に対してなのです。

「この人だったら応援したい」「この人のためなら自分のリソースをかけてでも手伝いたい」「この人にだったら投資したお金が戻って来なかったとしても後悔はしない」そう思ってもらえるかどうかにかかっていると言ってもいいかもしれません。
ですので、投資家との面会ではあなたがどんな人物で、なぜこのスタートアップをやっているのか、どんなビジョンを持っていてどんな世界を実現したいのか、そういった思いの丈をぶつけてみましょう。

そこで共感を得られ、投資したいと言ってもらえれば万々歳ですが、そこで忘れてはならないのは、起業家であるあなた自身も投資家を選ばなければいけないということです。お見合いですから、相性が合わなければ先に進むべきではありません。著名なエンジェル投資家であれば、ある程度評判はあるはずなので安心できますが、そうでない投資家の場合は必ず自分に合った投資家なのかどうかをチェックしましょう。

一番有効なのは、その投資家が投資している他のスタートアップの創業者にリファレンスを取ることです。できればその投資家が紹介してくれた人ではなく、自分からその創業者を探して話を聞くのが理想です。投資した後どのようにそのスタートアップに関わっているのか(アクティブに関わってくれる投資家が必ずしも良いとは限りません)、本当にそのスタートアップにとって役に立っているのか、コミュニケーションのスタイルはどうなのか、ビジネスが順調にいっていない時でも安心して相談できる人なのか、など深堀してヒアリングをすることが重要です。

投資家は恋人のように相性が合わなかったからといって簡単に別れられるものではありません。あなたの会社の一部を保有することになり、場合によっては会社の重要な局面で障害となってしまうようなことさえあり得ます。少しでも不安になるような要素があったら考え直す方が無難です。

投資家にとってあなた自身やビジネスが魅力的である限り、投資をしてくれる人は他にもいるはずですから。

アクセラレーターという選択肢も

事業開始〜プレステージ期において、もう一つ可能性として考えたいのがスタートアップアクセラレーター(*1)です。

日本では事業会社がやっているプログラムが多いですが、Plug and PlayのようにシードVCがやっているもの、政府や自治体・大学が主体となっているものなども数多く存在します。プログラムごとに応募条件や出資条件、実施するプログラムの期間や得られるサポートなど異なるので、どのプログラムが今のあなたのスタートアップに合っているのか、しっかりと吟味する必要があります。

事業会社が運営しているアクセラレーターの場合、ほとんどはその事業会社の本業に関わる領域、あるいは近しい領域のスタートアップを支援することが多いです。

この場合事業会社が持っている人的あるいは物的なアセットを提供してくれることがあるので、これは大きなメリットとなります。事業会社側もスタートアップからの新しいアイデアを求めていることが多いので、うまくいけば事業会社が顧客になってくれることもあるかもしれません。Plug and Playのアクセラレータープログラムでもこうした事業会社との協業を志向しています。

アクセラレーターには他にもエンジェル投資やVCからの投資とは違うメリットがあります。例えばプログラムの中にはコワーキングスペースを提供してくれるところや、エクイティを取らないものもあります。
特定の事業領域やファウンダー属性に特化したアクセラレータでは、その分野のエキスパートやネットワークを紹介するなど、手厚いサポートがつくことも珍しくありません。

こうしたプログラムを選ぶ時にも、ぜひやっておきたいのがリファレンスチェックです。アクセラレーターの多くは、プログラムが終了し卒業したスタートアップの名前を公表しています。できれば複数の卒業生にコンタクトをして、プログラムで満足いった点や期待に満たなかった点、どのように活用したのかなどを聞いておくことで、本当に自分に合ったプログラムなのかどうかを判断することができるはずです。

――

次回はアーリーステージ(シード〜シリーズA)以降の投資家の選び方について解説します。

*1) アクセラレーター:

スタートアップの事業を成長させるために必要な支援を提供する組織。スタートアップをサポートする一つとして、数ヶ月といった一定期間でアクセラレータープログラムを実施し、ビジネス拡大に必要なノウハウ提供や、ワークショップ、メンタリングセッション、業界のリーディングカンパニーとのマッチングなど、短期間で事業をスケールさせるためのプログラムを提供している。

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