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スタートアップと共に描くMUFGのオープンイノベーション戦略とは

2024/11/19

三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、「MUFG」)は、スタートアップの成長支援を通じたオープンイノベーションを推進しています。今回、スタートアップへバリューアップ支援を提供するスタートアップ戦略部の榊原氏、大手企業とさまざまなセクターとのオープンイノベーションに携わる事業共創投資部の中牟田氏、そして観光産業を起点とする事業共創に取り組むオープンイノベーション拠点「MUIC Kansai」を運営する関西イノベーションセンター(以下、「MUIC」)の林氏から、MUFGとしてスタートアップとの連携に取り組む試みや活動意義についてお話を伺いました。


Interviewee:


榊原 知良氏(写真中央右)

株式会社三菱UFJ銀行 スタートアップ戦略部


中牟田 潤氏(写真右)

株式会社三菱UFJ銀行 事業共創投資部 


林 勇太氏(写真中央左)

一般社団法人関西イノベーションセンター(MUIC)


Interviewer: Yoshihiko Arai(写真左)


Writer: Haruka Ichikawa


大企業、スタートアップ、地域社会との連携によるMUFGのオープンイノベーション活動

ーーMUFGのオープンイノベーション活動について教えてください。

榊原:

政府が2022年に「スタートアップ育成5か年計画」掲げ、スタートアップへの注目度はますます高まっている状況です。MUFGも総合金融グループとして一層のスタートアップへのコミットとスタートアップが成長できる社会的インフラの整備が必要と考え、これまでの組織をアップデートする形で2024年にスタートアップ戦略部を発足させました。

スタートアップ戦略部は、東京・名古屋・大阪など主要都市で活動しています。主に、新規顧客となるスタートアップとの接点構築、既存でお取引があるスタートアップの時価総額を高めるためのバリューアップ支援、そしてMUFGグループ内外における活動の認知拡大に注力しています。そのバリューアップ支援の一環で、スタートアップ起点でのオープンイノベーション実現に向けた活動にも取り組んでいます。

中牟田:

私たち事業共創投資部は、大手企業の顧客を支援するために「事業投資」と「事業共創」の2つの柱で活動しています。DXやGXをはじめとしたテクノロジーによる産業構造の変革期を迎えるなか、MUFGとしても産業創出を担うため、従来の融資での支援にとらわれず、お客様の事業の立ち上げフェーズからリスクを共にし、銀行の役割期待を変革する気運が高まり、本部署が発足しました。スタートアップや中小企業、アカデミアなどさまざまな方々を繋ぐオープンイノベーションのご支援や、銀行本体で共にエクイティ出資を行う事業投資を進めております。

スタートアップのバリューアップを担うスタートアップ戦略部と、大手企業への価値提供を目指す我々事業共創投資部が連携することによって、”ベンチャークライアントモデル”のようなオープンイノベーションの仕組み作りに取り組んでいます。また、エスコンフィールドHOKKAIDOを実証フィールドとして活用するなど、既存のパートナーシップを活用した支援施策や、個社のバリューチェーンからどのように産業創出に繋げられるかについて検討しています。

林:

MUIC Kansaiは、観光・インバウンド産業を起点としたオープンイノベーション拠点として、2021年に開業しました。MUFGグループが母体でありながら、非連結の一般社団法人として、社会課題の解決を目指す大手企業とスタートアップのオープンイノベーションによる「課題解決プログラム」を運営しています。プログラムを通じて、大阪・関西万博に向けた産業活性化や事業創出を進めています。

これまでの約3年間で100件程度のプロジェクトを立ち上げ、そのうち約20件の事業を社会に実装することができました。これまでの取り組みを万博やその後の社会でどう活かすかについても検討しています。

業界視点を超えたグローバルな知見とネットワークの活用

ーーPlug and Playを活用するにあたり、どのようなところに利点を感じておられますか?

中牟田:

スタートアップと連携することで、銀行の視点を超えたディスカッションができる場を提供してもらえることが大きな魅力です。さらに、企業間連携の方向性を中立的な立場で導いてもらえることにも大きなメリットを感じています。

榊原:

Plug and Playの強みは、グローバルなリーチと独自の知見です。MUFGでは出会えない海外のスタートアップとも接点が得られ、また現地トレンドや事例をPlug and Playのメンバーが日頃さまざまな企業に伴走することで培った知見や視点と掛け合わせてナレッジとして共有いただくことで、金融機関という業態に囚われないオープンイノベーションの手法を習得できると感じています。

林:

MUICでは、Plug and Playの大阪拠点としてコワーキングスペースを活用いただく中で、スタートアップ向けのイベントを共催するなど、スタートアップと連携した企画の立て方やコミュニケーションのあり方について学ぶ機会を得ました。

大手企業との連携をスタートアップの成長ドライバーに

ーーオープンイノベーションを推進する現場に立ってみて、あらためて気づいた課題があれば教えてください。

榊原:

今年の3月まで2年間スタートアップに出向して実体験として感じたのは、大手企業の存在がスタートアップの成長ドライバーとして欠かせないということです。資本提携に限らず、大手企業の持つ技術や販売ネットワーク、また知名度もスタートアップにとっては大きな価値を持ちます。スタートアップは大手企業とうまく組むことができれば、アセットやスピードの制約を超えた非連続な成長を成し遂げられると思います。

こうしたスタートアップが成長できる環境を提供するために重要なのは、営業として大手企業を担当する銀行員がオープンイノベーションや新規事業について学ぶことだと気付きました。この気付きを第一歩として、Plug and Playと連携してワークショップなどの社内研修を進めています。これまでは大手企業とスタートアップを引き合わせて終了していたところから、今後はマッチング前後のプロセスも重視しながら、事業化までの伴走支援に取り組みたいと考えています。

林:

開業当時は、MUICのステークホルダーから多くの課題が持ち込まれ、それらをもとにプログラムを作っていくような考えを持っていましたが、実際には課題自体がまだ整理されていないケースの方が多いことがわかりました。私たち自身がとにかく多くのスタートアップや大手企業に会いに行き、仮説を立てて解決すべき課題を発見していく。対話や案件を積み重ねることで、MUICから企業同士をお繋ぎできる機会も増え、ケイパビリティを広げることができるようになりました。

中牟田:

銀行の「お金を貸す、出資する」といったイメージを超えて、「オープンイノベーションを推進できる存在である」ということをお客様にどのように示すか、またオープンイノベーションの推進をどのように事業の成長と銀行の収益獲得の両立に繋げ、サステナブルな取組にするかという課題があります。これに対して、オープンイノベーションやスタートアップ支援の目標を同じくする他部門と連携し合い、それぞれの縦割り意識を排して、収益化を意識して協力し合える社内体制の強化に取り組んでいます。

ーーこの記事を読まれているスタートアップへメッセージをお願いします。

中牟田:

スタートアップのみなさんの力が、大企業が今後発展するうえでも重要な日本の力になると信じています。そのためにできることについて銀行でもカジュアルに話せる場づくりにも取り組んでいるので、気軽にお話しさせてください。

榊原:

スタートアップ支援という領域において、MUFGはまだこれから頑張っていこうというフェーズであることは自覚しています。足りないところもあると思いますが、必要な支援についてぜひ率直にお話を聞かせてください。

林:

これまでは2025年の大阪・関西万博に向けた社会実装を目指してきましたが、今後は万博レガシーの社会実装を促すプラットフォームとして、これまで以上に機能を拡充してさらなる事業創出に取り組んでいきます。興味をお持ちいただける方は是非お話しさせてください。

Event Info

MUFGがグループの総力を結集して、スタートアップ・エコシステムにとって真に”実のある”ノウハウ・出会いを提供するイベント「MUFG Startup Summit」を12月に東京で開催します。

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