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Startup x Partner Interview | PLEN Robotics x 近鉄GHD

2022/02/01

未来のホスピタリティを考える店舗実験ー 近鉄GHD x PLEN Roboticsインタビュー

新型コロナウイルス感染拡大により、消費者の行動は変化を余儀なくされました。商品の選定から決済に至るまで顧客のデジタル体験が促進され、バックオフィスを含むリテール業務全般のDXも加速しています。非対面・非接触の需要が拡大しているニューノーマル時代において、実店舗が提供できる価値や店舗における購買体験の新たな意義を考える取り組みとして、株式会社近鉄百貨店とPLEN Robotics株式会社の実証実験に焦点を当てお話を伺いました。


足高 寛俊氏

近鉄ベンチャーパートナーズ株式会社(以下、「近鉄VP」) 

2006年に近畿日本鉄道(現:近鉄GHD)に入社。不動産開発・PM・ファイナンスをはじめ、農業ビジネスの立ち上げ、SPイベントの企画・運営、レジャー施設の経営企画・マーケティング等、多岐に渡る業務に従事。近鉄VPでは、幅広い知見や社内外の人脈を活かし、ディレクターとしてスタートアップと近鉄グループのインターフェースとなりオープンイノベーションを推進。Plug and Play JapanではChampionとしてスマートシティ領域を中心とするスタートアップとのオープンイノベーションをサポート。


竹越 理与子氏

株式会社近鉄百貨店(以下、「近鉄百貨店」)

2002年新卒で近鉄百貨店に入社後、2018年よりITを使って業務効率化や多様な働き方、お客様満足向上などに従事。あべの・天王寺エリア国際化プロジェクトにも参加、まちづくりの観点からもITの活用方法を模索中。


富田 敦彦氏

PLEN Robotics株式会社

バークレイズ証券や野村證券他、国内外の金融機関投資銀行部門で、新規ビジネスの立ち上げ、リスク/リターン分析に基づく金融商品開発及びデリバティブス、証券化商品などのトレーディングに従事。2017年にPLEN Robotics株式会社を共同創業。取締役COOとしてアライアンス、セールス&マーケティング、ビジネス・デベロップメントを担当。


隅田 夕希乃氏

PLEN Robotics株式会社(以下、「PLEN Robotics」)

2019年インターンとしてPLEN Roboticsに入社。2020年より正社員として法人営業、ビジネスディベロップメントに加え、広告や動画などのデジタルコンテンツの制作、実証実験企画/運営、さらにロボットUI/UXのテスト/改善などの業務を担当。Plug and Play Japan SmartCities Batch1(第一期)アクセラレータープログラムへ参加しピッチや会社窓口を担当。


「ロボティクス x ホスピタリティ」を考える子ども向け催事イベント

ーー 実証イベントに至るまでのプロセスや背景についてお聞かせください

足高氏:

以前からPLEN Robotics社の取り組みを拝見する中で、対面接客シーンで活用できる可能性を感じていました。そこで、Smart Citiesプログラムの採択期間中*に近鉄グループの複数の事業会社に対してPLEN Robotics社との協業案を提示したところ、近鉄百貨店から前向きな回答が得られたため、すぐに竹越さんとPLEN Robotics様をお繋ぎしました。

竹越氏:

コロナを機に、検温用端末など顔認証システムに触れる機会も多くなりましたが、お客様の目の前に出したいと思えるようなビジュアルをしたものはまだまだ少ないと感じています。PLEN Cubeは可愛らしい見た目をしているので、ぜひバックヤードではなく顧客体験を向上できる取り組みがしたいと考えました。さっそく催事担当との協議に移ったところ、可愛らしいビジュアルを活かして、「お子様」をターゲットに子ども服売場との企画を進めることになりました。

富田氏:

当社はエンジニアが主体の企業で、社員はそれぞれ自分たちの開発業務に集中することが多いのですが、現場を知らない人間が開発を進めると「機能としては仕上がっているけれど、実用的ではなく使えないもの」が出来上がってしまうという課題を感じていたところでした。見学可能な実証の場を手にすることは切なる願いでしたが、アクセラレータープログラムへの参加を通して叶えることができました。

*Smart Citiesプログラムの採択期間とは:スタートアップのアクセラレータプログラム応募から採択を決定するまでのスクリーニング期間。Plug and Play による複数の選考ステップを経て、最終的にアンカーパートナーの得票により採択企業を決定する。

(Plug and Play Osaka Batch 1 EXPOにて、PLEN Roboticsの発表の様子)

ーー実証実験イベントの準備にあたり、工夫されたことはありますか?

隅田氏:

大きく分けるとデザイン面、技術面の2点において工夫して準備を進めました。今回は4種類の機能を持つ製品を提供しましたが、あべのハルカスの公式キャラクター「あべのべあ」を想起させるようなカラーリングや耳をつけた製品を用意しました。技術面ではクイズを出す機能で、○×クイズ形式にするのか、一問一答形式にするのかなど、社内でも議論や検証を進めてイベントに最適なプロダクトとなるよう準備しました。

富田氏:

PLEN Roboticsという社名の「PLEN」の由来はプレーンヨーグルトの「プレーン」なんです。代表の赤澤の「プレーンヨーグルトのように味を変えたり、トッピングを乗せたりしてカスタマイズできるようなロボットを作りたい」という想いが込められています。
既存のロボットはキャラクターの主張が強いものが多く、置ける場所が限られてしまうという印象もあったので、ベースの機体はとにかくシンプルでどこに置いても違和感がない、存在感を主張しすぎないロボットを作りたいという想いもあり、現在のPLEN Cubeが誕生しました。

足高氏:

ロボティクスという領域はこれからの社会において必要不可欠な存在になってくると思います。一方で、近鉄グループは、鉄道をはじめ百貨店やホテル、レジャーなど、あらゆる事業においてお客様とのリアルな接点を大切にし、ホスピタリティを追求してきました。ですので、「ロボティクス x ホスピタリティ」というビジョンを掲げるPLEN Robotics社とは間違いなく相性がいいだろうと考えていました。そういう意味で、今回の取り組みは、接客業の未来について考える良い機会に繋がったと思います。

ロボットならではの付加価値と子どもというターゲットインサイト

ーーイベントを実施されてみて、実施後の感触はいかがでしたか?

竹越氏:

PLEN Cubeの◯✖️クイズは特に人気があり、クイズに正解すると宝箱からプレゼントと引き換えられるカードが出てくる仕組みだったのですが、カードを何回も補充しなければいけなくなるほどでした。ジュースが注文できるジューススタンドも多く利用されていて、売場担当者からは今後決済機能を搭載できれば、より面白い取り組みができそうというフィードバックがありました。シンプルな◯✖️クイズは、人間が提供していたらここまでの人気は得られなかったと思います。ロボットが出題や正誤判定をしてくれるという、新しいテクノロジーに触れられるからこそ面白く、付加価値のある顧客体験になったのだろうと考えています。

隅田氏:

これから注文履歴や利用者の属性データを含めた生データを共有して、近鉄百貨店様とデータ分析をおこなう予定です。店舗の方に見ていただくことで新たなインサイトが得られると思います。今回は初めての試みでしたので、判断が難しいデータも多いですが、取り組みを重ね継続的なデータ取得によってさまざまなインサイトを増やしていけると思います。

竹越氏:

POSの購買データの場合、お子様ご本人ではなく保護者の情報が属性データとなりますが、お子様がどのような体験をされたのか、どのような関心があるのかというデータが蓄積できれば今後の売場づくりにも活用できると考えています。

竹越氏:

今回の実証イベントでは、既にPLEN Robotics社がお持ちの製品をカスタマイズして検証することができたので、最小限の導入コストでスモールスタートができたことがよかったと思っています。現場からは今後もこのような機会があればやってみたいという反応が得られました。コロナの影響で最初から大きなコストをかけて施策を打ち出すということには、以前よりも大きなリスクが伴います。小さな案件からフィードバックを重ねて積み上げていくという方法は今の環境に合っていると感じています。

富田氏:

今回はたまたま近鉄グループホールディングスという巨大企業との取り組みが実現しましたが、我々は決して大規模で高額なシステムを売りたいわけではなく、街中のお店でも気軽に使えるような製品やサービスづくりを心がけているのでスモールスタートができてよかったと思っています。
当社の製品/サービスの検証という面においては、やはり現場で実証をおこなうことでUI/UXの開発が鍛えられると実感しました。今回は子どもという自社にとって新しいターゲットにチューニングをすることで、子どもが飽きないような仕掛けづくりなど、色々と学ぶ機会がありました。

竹越氏:

既存事業の枠組みだけで考えているとアイデアが枯渇してくるので、外部の企業とアイデアを共有することにより打つ手を増やすことはこれからより重要になると感じました。顕在化した社内の課題を解決できる技術を探索することも大切ですが、スタートアップからアイデアの提案をいただいたり、プロダクトを見せていただいたりすることで相互に柔軟なアイデアを積み上げていくことも有意義だと感じました。社内のアイデアを引き出していただけるような方との協業を今後も進めていければと思います。

足高氏:

それこそがオープンイノベーションであり、そういう風土を醸成し、スタートアップとの共創を実現していくことが、CVCである近鉄VPのミッションです。これからも、スタートアップと近鉄グループ、双方の成長に寄与する取組みを全力でサポートしていきたいと思っています。

リアルをデジタルに置き換えるのではなく、デジタルでリアルの価値を高める

ーー今後はどのような取り組みを推進していきたいですか?

富田氏:

工場やデスクワークにはオートメーションやデジタル化が進んでいる一方で、サービス業では現場で働く人にとってまだ課題が多いと感じています。店舗での商品リコメンドや注文を受ける機能の実用性が立証されてきたので、今後は顔認証決済機能の実装を進めていきたいです。企画立案や意思決定、困っている人への対応などの高度な接客を人間が対応して、繰り返しおこなわれる提携業務をロボットで代替していき、小売業界の非接触ニーズにも応えていきたいです。
また、ホスピタリティ業界では顧客情報が人の頭のなかに詰まっていて、属人化してしまうケースも多く見受けられます。今月何回目の来店か、前回の来店はいつだったか、顧客の誕生日はいつかなど、ホスピタリティを発揮できるデータをロボットが通知して、人間がより高度な接客を提供するというような拡張性を高めていきたいです。

竹越氏:

コロナの影響を受けてECやデジタル環境は急速に整ってきていますが、百貨店としてはやはりリアル店舗に来てもらいたいという思いがあります。デジタルやロボットを活用することで「店舗に来なくてもいい体験」ではなく、フィジカルな体験と掛け合わせて「店舗に来ることが楽しくなる体験」を作っていきたいですね。例えば、売場の一部を無人化する場合も、無人であることに新たなワクワク感が感じられるようなエンターテイメント性のある店舗づくりを考えてみたいです。フィジカル面とデジタル面がもう少し融合されるような取り組みができればと思います。

左から:近鉄VP足高氏、近鉄百貨店竹越氏、PLEN Robotics 隅田氏、富田氏

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