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Partner Story | Coca-Cola Japan


日本コカ · コーラ株式会社 澤本 篤志 氏

デロイトトーマツグループにて、主に大手通信会社や飲料メーカーの新規事業開発コンサルティングに従事。ベンチャー企業の海外進出支援や事業計画策定など幅広い支援に携わる。 現在、Coca-Cola Japan の Emerging Growth Platforms( 新規事業開発本部 )にて、ビジネスデベロップメント&エコシステムマネージャーとして、スタートアップを中心とした外部パートナーとのアライアンス構築をリード。



Plug and Play Japan 株式会社 貴志 優紀 (Director, Fintech / Brand & Retail )


日本コカ・コーラの新規事業 - What と How

貴志

僕自身、Plug and Play JapanでBrand&Retailを任されて今年の1月から活動していましたが、御社は去年1月からファウンディングパートナー、立ち上げ期のパートナーとしてPlug and Play Japanに参画いただきました。
なぜ御社が新規事業に関わることになったのか、チームの立ち上げの背景、そしてプログラムの参画の経緯を伺えますか。

澤本

そうですね。まず「コカ·コーラ」と聞くと、飲料メーカーとして商品の企画開発、製造、営業、流通までを行う、一般的な飲料のサプライチェーンをイメージされると思うのですが、実はコカ·コーラの事業は、日本コカ·コーラ社とボトラー社という異なる組織で成り立っています。私たちはこれを「コカ·コーラシステム」と呼んでおり、私が所属している日本コカ·コーラは製品の企画、開発とマーケティング活動、原液製造をやっています。原液から商品を作って、流通させるところは全国に5社ボトラーがいて、彼らを通して全国に届けるというのがコカ·コーラシステム全体の仕組みとなっています。

僕たちのチーム、Emerging Growth Platformsは社長直下の新規事業開発部として発足したのが2018年です。このチームが組成される前から、グローバルでみても日本コカ·コーラはかなり積極的にイノベーションに取り組み、ユニークな施策を打っています。例えば、去年ローンチしたアルコール飲料「檸檬堂」の発売も世界初のアルコール飲料となりました。自販機と連動する、消費者向けアプリ「Coke ON」も日本独自の施策です。新規事業開発部の発足前から、全社的に積極的に新しいことには取り組んできました。

その背景には、コカ·コーラの事業目的「 Refresh the world, make a difference(世界中を潤し、爽やかさを提供すること。前向きな変化をもたらすこと。)」があります。つまり、消費者のあらゆる人生のフェーズにおいて、多様化するニーズを捉えた製品を開発していくことで、人々にポジティブな変化をもたらしていくことが
僕らの使命だと思っています。
現在どれだけ当社がこのミッションを実現できてるかと考えたときに、「コカ・コーラ」等の炭酸飲料以外にも既に「ジョージア」、「アクエリアス」、「綾鷹」、「い·ろ·は·す」等の幅広いプロダクトを展開していますが、やはり今まで以上に製品ポートフォリオを広げて幅広いニーズに対応していく必要もありますし、もしかしたら飲料以外の製品や、飲料の枠を超えてテクノロジーを活用して体験そのものを提供していく必要があると思っています。その活動を加速させるために、2018年に専属のチーム、Emerging Growth Platformsが立ち上がりました。

貴志

どんな方々がチームにいらっしゃるんですか。

澤本

本当に様々ですね。
新規事業部は他の部署と仕事を一緒にしていくため、既存事業部からも来てもらっていたり、外部からのメンバーもいます。流通、営業、マーケティングのプロもいますし、僕のようなイノベーションバックグラウンドのメンバーもいたりします。メーカーとしての視点はもちろん必要ですが、既存の分野以外の視点も持つ必要があると思っています。

貴志

そうですよね、事業部を巻き込むためにもバランスの取れたチームが必要ですよね。

澤本

Emerging Growth Platformsとしてやっていることが 2つあります。
新しい飲料やサービスである”What”の部分を開発することと、僕らはEnablerと呼んでいますが、新規サービスを消費者に届ける新しい仕組みを構築して行ったり、新たなビジネスモデルを開発していくような”How”の2つがあります。その中でも、社内で0→1から開発するパターンと、外部との協業の2パターンがあって僕はこの外部との協業を推進する役目をしています。

貴志

Plug and Playの担当になっていただいて約1ヶ月半経ったと思いますが、どの様な印象をお持ちですか?

澤本

僕自身、同じ様な活動を前職でしていたこともあって、オープンイノベーションにおける、スタートアップの探索機能の重要さを実感しています。
イノベーションには、知の探索と深化という2つの側面があると思いますが、その活動の全てを自社だけでやるのは限界があると思っています。単純にネットワークだけの話ではなく、Aの課題に関して僕らが考えるBのソリューションに加えて、Plug and Playのフラットな発想でBダッシュのソリューションを提案して頂けたり、また更に違ったアングルからの発想を貰えたりと、事業開発を掛け算的に支援してもらえる外部の協力、連携が必要不可欠だと考えています。

貴志

そこは、我々のグローバルネットワークも活用して行っていただきたいですね。日本人の考えるものだけではなくて、シリコンバレー、ヨーロッパ、そしてアジアでも違ってくると思いますので、そこを僕ら自身で皆さんに紹介できればと思います。

スタートアップとの関わり方 - 強みと強みの掛け算

貴志

皆さんも新しいチームができて、かなり活発に活動されていると思いますが、スタートアップや、外部パートナーとの協業のコツ、ベストプラクティスなどありますか。

澤本

僕の個人的な意見なんですが、メンタリティでいうと、「まずYESから入る」ということですね。プレゼン資料、ホームページを見て、そこまでピンとこない会社でも、実際に会ってみるとすごく面白い提案をいただけたりとか、話してる中での気づきなどがあることも多いです。まず、一緒に何かできないか考えてみることですね。常にフラットな目線で話して、誠実に向き合うことは、スタートアップに限らずどのビジネスパートナーシップでも重要じゃないでしょうか。協業の提案を待つだけではなく、僕ら自身が頭をひねって何かできないかというのを考えていくのも大事ですね。

そしてスタートアップと組むときは、いかにその企業と協業するべきかという必然性を作ることが大切だと感じます。お互いの強みを掛け合わせて、持ってない部分を補完し合うことがパートナーシップだと思っているので、両者の強みをきちんと理解して言語化することが大事なポイントですね。
例えば弊社は、2019年の夏にEndian(エンディアン)というジョイントベンチャーをデジタルマーケティングに強みを持つI-neという会社さんと立ち上げました。

従来のコカ·コーラの戦略ではマスマーケティングで全国に広げていく手法が一般的ですが、近年の消費者行動の変化を受けて、もっと消費者それぞれのニーズや課題を細やかに吸い上げマーケティング活動を行う、、スモールマス的な考え方がすごく求められていた背景がありました。
そこは弊社の苦手な所です。そんな流れで、今回は両者の強みと弱みがガチっとはまったような案件となりました。EGPとしては今までジョイントベンチャーの設立は前例がありませんでしたが、両社のシナジーが明確だったため比較的短期間で実現することができたんですよ。

貴志

同感です。強みと強みの掛け算、がまさにパートナーシップのあるべき姿だと思います。確かにYESから入ってみる、ということ非常に重要ですよね。頭ではわかっていても、会社組織としてなかなか前に進めない企業さんも多いかと思います。その面、会社文化だったり、事業部の巻き込み方などにはどう取り組んでいらっしゃるんでしょうか。

澤本

正直僕らもリアルのアセットを豊富に保有している会社では無いので、PoCが簡単にできるような環境が整っているとは言い難いです。検証をする際は、各分野のエキスパートの知見をベースに、スタートアップと一緒にプランニングを行い、結果から示唆を導き出すまで並走して行っています。

社内ではよく「はみだそう。」という掛け声が用いられています。
モバイルやインターネットが浸透してきて、消費者のライフスタイルが急速に変化し、消費者ニーズも今まで以上に細分化・複雑化してきていると思います。このような環境変化の中で、今までのやり方に加えて新しい製品ポートフォリオを創り出したり、消費者それぞれにカスタマイズされた価値を提供するやり方もしていかないと、僕らも生き残れないというような危機感があるんですね。

常に成功体験にとらわれないで「はみだしていこうよ」というマインドセットが社内で浸透している、打ち出されているので、新しいことを常に探していたり、トライしようとしている、スローガンがまさに企業文化の軸になっていると思います。僕らだけではなく既存の事業部の方も「面白そう」と食いついてきてくれます。

貴志

澤本さんには今季はSelection Dayから参加していただきました。これからのBatchに対する意気込みや、我々との取り組みに対する意気込みをお伺いしたいです。

澤本

アクセラレーションプログラムに参加することで、強制的に知の探索に晒されると思います。必ずしも自分たちの課題解決にすぐに直結しないケースも正直多いと思うんですね。でも限られたタイムラインの中で、その時何かに繋がらなくても、スタートアップ数ヶ月後に会えばテクノロジーがすごく進化していたり、全く違うサービスができていたりするじゃないですか。その時に活かせるような関係性を作っていけるということはすごく
良いことだと思っています。

新規事業部として活動を数年続けていると、発足当初に発掘した筋の良い案件をいかに深掘りしていくかという方向にシフトしていってしまう傾向があるかと思います。いつの間にか、新規事業開発部なのに既存事業に近しい活動になってしまっている場合も。それはそれで良いのですが、さらに新しい未知の領域でもがき続けることができる環境をPlug and Playが提供してくれるのではないかと期待しています。Selection Dayで会った会社さんも、協業やPoCに繋がりそうな会社さんもいたので、前向きに取り組みたいと思います。

貴志

両輪の考え方は確かに大事ですよね。中長期でタネをずっと探しておかないと、どこかで諦めてしまうとダメなんですよね。

澤本

そうですね、バランスだと思います。成果も重要だし、誰もやったことない領域なので、答えがないんですよね。ちゃんと事業化できそうな案件にリソースを回しながら、いかに新規事業開拓を継続していけるかというのがキーですよね。

貴司

それでは最後にスタートアップの皆さんに一言いただけますか。

澤本

僕らが活動しているEmerging Growth Platformsという部隊は皆さんと同じスタートアップという立ち位置だと思います。今まで弊社が取り組んでこなかった新しい領域で、皆さんと一緒に消費者がワクワクする体験を創り上げて行きたいと思います。今回のお話を通じて、少しでも弊社と連携出来そうと感じた方は是非ご連絡頂ければと思います!