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「次世代モビリティに求められるサステナビリティ」イベントレポート

2023/09/18

2023年7月21日、サステナビリティに取り組む大手企業とスタートアップを繋ぎ、オープンイノベーションを促進するイベントをPlug and Play Japan東京オフィスにて開催しました。

企業パートナーを中心に、サステナビリティに関心の高い60社以上の大手企業にご来場いただき、国内外8社のスタートアップピッチのほか、大手企業9社のサステナビリティへの取り組みの発表がおこなわれました。本レポートでは、イベントの内容を簡単にご紹介します。

 


1. イントロダクション

まず初めに、Plug and Play JapanのDirector, New Materialsである新井成実より、「環境に配慮した企業活動を行うことで、社会全体を長期的に持続させる」、サステナビリティの説明を行いました。

次に、企業がサステナビリティを考慮する重要性に関し、①国際機関や政府から経済界に対する要請や規制、②無用なリスクやボラティリティを嫌う機関投資家からの取り組み要請や活動の可視化、③インターネットやSNSにより環境問題への感度の高いZ世代を筆頭とする消費者の意識の変化の3点に触れ、企業は3方面からステークホルダーの圧力にさらされ実利的観点からもサステナビリティの要請に応えざるを得ない状況である点を解説しました。

最後に、モビリティや新素材(ニューマテリアルズ)領域に関連の深いSDGs指標について説明しました。

2. キーノートスピーチ

基調講演では、株式会社伊藤忠総研 産業調査センター 上席主任研究員およびMOBI(Mobility Open Blockchain Initiative)深尾三四郎氏にご登壇いただき業界の最新トレンドの説明が行なわれました。モビリティ産業におけるブロックチェーン・DLTの標準化と採用を促進する大規模なコンソーシアムであるMOBIの組成と取り組み内容、サプライチェーンデータのトレーサビリティの現状などに関し解説が行われました。

3. スタートアップピッチ

メインコンテンツであるスタートアップピッチにおいては、英国、台湾、米国、シンガポール他、グローバルな8社が登壇しました。

燃費の改善、燃料の脱炭素化やエネルギー調達の最適化、生産工程の省エネ、GHG排出量計算、カーボンプライシング/クレジット、サプライチェーントラッキングなどに貢献するサービスや技術を持つスタートアップに対し、観客からさまざまな質問が寄せられるインタラクティブなセッションとなりました。

 

XING Mobility Inc.(台湾 台北市):

電気自動車やエネルギー貯蔵システム用液浸冷却バッテリーシステムの設計・製造。

 

Thermalytica(茨城県つくば市):

エアロゲル断熱材『TIISA』の開発・販売や、遮熱コーティングサービスの開発・提供。

 

AirGo Design Pte. Ltd(シンガポール):

金属代替可能なプラスチック複合材の設計デザイン・シュミレーションが可能なソフトウェアを開発。

 

ANKO Glass(中国 江蘇省):

軽量で耐衝撃性の高いポリカーボネート透明複合材料を開発。膜厚均一性と高いコストパフォーマンスを実現。

 

3D Architech(アメリカ マサチューセッツ州):

低コストかつ精密な金属を製造できるゲルベースの3Dプリンティング技術を開発。

 

株式会社Spatial Pleasure(東京都世田谷区):

交通事業者に対してカーボンクレジットの認証・計測を行うDMRV(measurement, reporting and verification)ソフトウェアを開発。

 

boost technologies株式会社(東京都品川区):

CO2フリー電気の調達/供給やCO2の可視化を行うシステムを提供するスタートアップ。

 

Circulor(イギリス ロンドン):

ブロックチェーンとAIを活用し、サプライチェーンにおけるCO2排出量を可視化するSaaSプラットフォームを提供。

4. 大手企業のサステナビリティの取り組み紹介

スタートアップの発表に続き、大手企業9社より、それぞれの企業のサステナビリティに向けた取り組みが発表されました。

特にクリーンエネルギーの使用やCO2の回収強化の他、バイオ燃料・水素燃料の研究開発、リサイクル樹脂の使用率を高める取り組みなど、さまざまな知見の共有はスタートアップおよび大手企業双方にとって有意義な内容となりました。

5. 最後に〜サステナビリティのスタートアップの技術を知る貴重な機会〜

今回のイベントには、モビリティおよび新素材(ニューマテリアルズ)領域を中心にさまざまな業界の合計60社の大手企業の技術統括部や事業開発部、経営戦略部などにご所属の方々にご参加頂きました。

Plug and Play Japanは、マクロ動向、大手企業の新たな取り組みを知ることや、国内外の様々な技術を持つSUを知るのみならず、メディアや学術界、大手企業やスタートアップなど普段出会う機会の少ない方々が集まり、課題や事例についてカジュアルに共有し合いアイディアが生まれる機会を創出しています。

参加者からは「他企業との繋がりが増えた」「協業先の探索に繋がった」「関心テーマや注力領域を特定するヒントになった」といった前向きなフィードバックを多く頂戴しています。また、イベント中のネットワーキングの機会で出会ったスタートアップと大手企業が既に協業に向け話し合いの機会を持ったケースも見られました。オープンイノベーションに向けたノウハウの提供のみならず、業界横断的な共通目標に取り組むための業界を超えたつながりを促進するさまざまなイベントを開催しておりますので、ぜひご参加ください。

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