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金融サービス仲介業の活用について考える

2022/11/09

2020年6月に「金融商品の販売等に関する法律」の改正が公布され、2021年11月1日に施行されました。この改正法において新たに設立されたのが「金融サービス仲介業」です。Plug and Play Japanでは2021年、金融庁と共催で行ったイベントを通じて、金融サービス仲介業による新たなビジネス機会の模索を複数業界の大手企業と行ってまいりました。
本記事では同イベントを振り返りつつ、金融サービス仲介業がどのような金融事業者、非金融事業者にどのようなビジネスチャンスをもたらすのか解説していきます。


Isamu Nishiyama

Partner Success Manager, Insurtech


企業パートナー11社と新規ビジネスを考える

2021年11月、金融サービス仲介業に関する理解を深め、新たなビジネスチャンスについて議論することを目的とし、金融庁・Plug and Play Japanが共催でイベントを開催しました。本イベントでは、金融庁・総合政策局より、金融サービス仲介業について解説いただいたのち、イベントに参加した銀行・保険・VCといった金融事業者や、製造業・SIer・商社といった非金融事業者の企業が、金融庁・Plug and Play Japanの担当者とともに、本制度を活用したビジネスアイデアを議論いたしました。

金融サービス仲介業とは一体何?

日本では各金融商品の仲介を行う際、内閣総理大臣への登録などが必要となります。
例えば、顧客へ保険の勧誘や商品説明をするには保険募集人・保険仲立人の登録が必要です。
他にも株や国債といった金融商品を取り扱うには、金融商品仲介業の登録を受ける必要があり、取り扱う業態毎に登録が必要となるため非常に手間であるといえます。

何が変わるの?

改正法により、銀行・保険・証券など、さまざまなジャンルの商品の取り扱いを1つの登録で行うことができます(全ての金融商品を取り扱えるわけではありません)。

(資料提供:金融庁)

どんなビジネスチャンスがあるの?

昨今の新たな金融サービスの決め手の一つは、いかにして金融と顧客接点を持つ非金融の事業との間に繋がりを持たせることで、データ活用による顧客本位な創意工夫を促していくかにあります。

この点、金融サービス仲介業者としての登録を受ければ、非金融の事業者はさまざまな金融サービスを自己のサービスと有機的に結びつけつつ、ワンストップで提供することが可能となります。
また、金融サービス仲介法制は、仲介者のインセンティブにより金融サービスが提供される枠組みであり、非金融の事業者による創意工夫を活かすことを可能とします。それにより、金融と非金融の垣根を超えた情報の利活用が進み、従来は存在しなかった利便性の高い多様なサービスの創出が強く期待されます。
非金融事業者にとって、本改正は金融業界への参入のチャンスとなるでしょう。

以下、あくまでほんの一例ですが、具体的にどのようなユースケースが考えられるか見てみましょう。

<教育>

子どもの教育資金など、成人するまでに必要な費用をどのくらい備えればいいか不安を感じている親は少なくないのではないでしょうか。子どもの志望校入学やなりたい職業に就くための教育などに掛かる費用に備える目的での投資信託や生命保険を提案し、将来に備えてもらうことで、教育事業でもこれまで以上に長い関係性を構築できるチャンスとなります。

<旅客業>

コロナの影響を大きく受けている業界の一つである旅客業は、顧客接点が非常に大きい業種であるといえます。タクシー、新幹線、飛行機での移動は多くの時間を要する一方、車(機)内でやることがないといった経験は読者の皆様もあるのではないでしょうか。座席で金融商品のパンフレットが読めたり、デジタルサイネージ上で商品説明が視聴できたりすれば、移動というスキマ時間で金融商品の検討ができ、旅客事業者にとっては収益拡大のチャンスとなります。

金融庁が期待すること

今回、Plug and Play Japanとの合同イベントを経て、金融庁総合政策局リスク分析総括課金融仲介業室丸山氏からコメントを頂戴しました。

「今回のイベントは、金融庁として常日頃やり取りさせていただいている金融事業者に加え、非金融の事業者の皆様の議論に飛び込む、金融庁としても新しい試みでした。
そこでは金融事業者だけの目線とは違った、事業者の目線も合わせた金融サービスについて語られていて、事業者の見る景色にどのように金融を位置付けていくか、自由闊達な議論が繰り広げられていました。金融サービスを提供すると喜ばれそうな、顧客接点の面的な広がりがここにもあそこにもある、これはアイデアが出てくるなと手応えを感じたところです。金融事業者の皆様にとっても、販売チャネルが増えるだけでなく、新たな創意工夫をEmbraceするチャンスになるとも思います。業種をまたぐ議論の中で、我々が運営する制度への理解が新たなアイデアの下に根付いていく、そのような様を見て、とてもワクワクしました。

我々としても金融と非金融の垣根、顧客本位などをキーワードに、そこかしこで展開されるこのような議論に今後もお邪魔し、制度の理解をお伝えしつつ、この新たに生まれた金融仲介法制の広がりを見ていきたいと思います。

金融仲介法制の活用の可能性や課題については、事業者や金融事業者の皆様と引き続き議論してまいりたいと思いますので、ご相談などのご要望があれば金融庁までご連絡をお願いします。」

大手企業間の協業支援

Plug and Play Japanでは、大手企業とスタートアップの協業支援だけでなく、大手企業同士や行政を巻き込んだ「N対Nの協業」を積極的に支援しています。2021年11月に実施したイベントをきっかけに、当社プラットフォームにおいて企業間で個別の意見交換やディスカッションも活発に行われております。金融サービス仲介業の活用による新たなビジネス創出の検討を当社としても支援してまいります。

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