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2023年注目のトップ10デジタルヘルススタートアップ

2023/04/05

2023年にデジタルヘルス分野でどのようなトピックがニュースに取り上げられ、話題を集めるのか、予測とともにスタートアップをご紹介します。

  • ハイブリッドケア
  • メンタルヘルス
  • 価格の透明性とバリューベースケア
  • 臨床試験や多様なデータ分析
  • マイクロバイオーム

(本記事は米国クリーブランドオフィスのSenior Ventures Associate, Julianne Rosemanの記事を翻訳し、一部補足したものです)


ハイブリッドケアにつながるデジタルヘルスソリューション

インターネット上で一次医療を行うビジネスモデルは、あらゆる種類の病状に対応できるようになりつつあります。しかしながら、市場にはまだ多くの潜在的な可能性があり、今後数年のうちに新しいソリューションが生まれることが予想されています。ヘルスケア業界では、ハイブリッドケアという新市場が確率されつつつつあり、デジタルヘルスソリューションはケアプロセスや患者の要求に応じて、バーチャルとリアル空間を掛け合わせて、患者と直接やりとりするようになっています。

Neura Health

Neura Healthは、このハイブリッドケアモデルの優れた一例です。神経科医に迅速にアクセスできるよう、症状記録、週1回のヘルスケア指導セッション、24時間365日の医療チームへのアクセスなど、多くの便利なバーチャル機能を備えています。しかし脳スキャンなど機械による診療が必要な場合は、近隣の医療機関が紹介されます。

さらにNeura Healthは、地域の医療機関が担当地域外や営業時間外にサービスを拡大できるよう支援することで、医療機関のキャパシティを広げています。これにより、地域病院はNeura Healthの神経科ネットワークをバーチャル上の一次医療窓口として活用し、神経科医はが必要な処置、検査、スキャンを地域病院に紹介します。この連携方法により、患者への満足度向上や収益拡大を見込むことができます。

TCare

疾病や治療の種類にかかわらず、どのような病気や障害であっても、医療の重要な要素は、必要なケアを提供すること、そして、予防・治療・回復のすべての過程において他者をサポートするという点にあります。TCareは、介護者にとって何よりも大切なこと、つまり自分自身と愛する人のケアに集中できるようためのソリューションを提供しています。TCareは、個々のニーズに合わせたリソースとサポートを提供することで、介護者のバーンアウト(燃え尽き症候群)に対処しています。

メンタルヘルスのためのデジタルヘルススタートアップ

深刻なメンタルヘルスに取り組むスタートアップに、より多くの資金が集まってきています。以前は、ストレス、不安、うつ病をはじめとするメンタルヘルスへの意識向上に重点が置かれていました。市場の中心は、救急外来受診や入院の頻度が高く、病気に伴うコストが高い慢性疾患患者に移ってきています。精神疾患は、客観的な測定方法がなく、主観的なアンケートや患者の自己申告に基づいて診断され、治療の効果を知る正確な客観的診断方法がないことが、メンタルヘルスにおける大きな課題となっています。

Senseye

Senseyeは、スマートフォンのカメラを使って、刺激に対する眼の反応を測定することで、精神的な健康状態を診断し、疾患の重症度を長期的に追跡することができます。Senseyeは、医師が患者一人一人にパーソナライズされた治療を迅速かつ正確に提供できるようにサポートしています。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を手始めに、治療効果測定の明確な診断基準となるツールのFDA承認を目指しています。

InSite Health

若者のメンタルヘルスも注目されています。地域コミュニティの共同スペースで診療を行うというトレンドを踏まえ、InSite Healthは学校と提携し、近隣の精神科外来診療を提供することで、若者たちに寄り添います。さらに、InSite Healthは、Children’s Health Insurance Program(CHIP: 児童医療保険プログラム)やメディケイドプログラム(低所得者向け医療保険制度)を通じてあらゆる家庭へのメンタルヘルスケアの提供に努めています。

2020年時点では、米国の全児童の約60%がメディケイドとCHIPに加入しています。メディケイド市場をターゲットにしたイノベーションは増加傾向にあり、小児医療を入口として隣接する若年層の市場を開拓することは、事業成長と規模拡大を狙う方法として一般的になりつつあります。

価格の透明性とバリューベースケアを追求するデジタルヘルス企業

サービスの提供方法にかかわらず、多くのヘルスケアのビジネスモデルは未だに出来高払いの診療報酬制度に依存しています。米国では最近、価格の透明性を求める連邦規制が導入されたため、患者はヘルスケアに関するサービスをより手軽に受けられるようになり、その結果、コンシューマー化が進むことになりました。

Scan.com

Scan.comのようなスタートアップは、患者が医療用画像診断サービスを地域、価格、保険適用などで検索・比較し、予約できる使いやすいプラットフォームを構築しています。

Vytalize

Vytalizeはメディケア市場をターゲットに、個人の開業医や診療所がバリューベースの診療報酬、革新的な技術、バーチャルクリニックを用いて、データ駆動型かつパーソナライズされた包括的なヘルスケアサービスを提供し、患者との関係を強化できるよう支援しています。

バリューベースケアは、Vytalizeのように企業が医療機関にこのようなビジネスモデルへの移行を支援することで、ヘルスケアにおけるトレンドとなり続けています。テクノロジーの発展により、バリューベースケアの導入は成功するのです。

臨床試験や多様なデータ分析に特化したデジタルヘルススタートアップ

新たな治療法を研究する上で、医薬品開発の根幹をなす臨床試験を支援するソリューションが増えつつあります。また、多様なデータを収集し、分析する必要性も強調されています。

Infiuss Health

Infiuss Healthは、医薬品開発企業と臨床試験の対象となる数百万人のアフリカ人を結びつけ、分散型の治験者募集を活用することで参加者層の多様化とタイムラインの短縮を実現します。

Lamar Health

Lamar Healthは、臨床試験や新しい治療法に関する最新情報をオーダーメイドで提供する、希少疾患向けのパーソナライズされた遺伝情報ハブを患者に提供しています。Lamar Healthは、AI分析や高度な機械学習などの最新技術を活用し、個々の患者の病気の経過や今後の治療予後に関する詳細なインサイトを提供します。Lamar Healthは、医療機関がこの分野の最新の研究動向を把握できるよう支援するだけでなく、患者と医療機関の両方に対して、遺伝カウンセリング、個別の治療計画、教材資料などの専門サービスを展開しています。

Perceiv AI

Perceiv AIのように、アルツハイマー病をはじめとする複雑な疾患の病状進行を予測するマルチモーダル診断プラットフォームを通じて、臨床試験の最適化、迅速化、リスク軽減を実現するソリューションもあります。また、Perceiv AIは、変性脳疾患の早期発見を可能にし、患者への治療を向上させます。

これらの技術は、予測される反応や疾患リスクに基づいて新薬を個々の患者さんに適合させる精密医療をサポートします。医学研究の進歩と人体へのさらなる理解により、今後業界では精密医療の患者への提供がますます増えていくでしょう。

マイクロバイオームに注目するデジタルヘルス企業

マイクロバイオームは、患者の健康状態を改善するための素晴らしい可能性を秘めています。マイクロバイオーム市場は、陰性症状につながる不健康な状態の回復向けた検査、分析、製品の提供に寄与するとされていますが、まだ市場への参入は少ないと言えるでしょう。

Pragma Bio

Pragma Bioは、これまで治療不可能だった免疫疾患の治療法を見つけるために設立されました。実世界のデータと合成生物学を用いて、臨床結果に関連するマルチオミクス
シグネチャーをマッピングし、治癒効果の見込まれるヒト由来の低分子を生産しています。

テクノロジーがヘルスケアを変革し続ける中、2023年も引き続きヘルスケア業界への大きな期待が寄せられています。スタートアップにはヘルスケア業界に革命を起こすチャンスがあります。ここでご紹介した10社のデジタルヘルス関連スタートアップを参考に各領域のスタートアップに注目してみてください。

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