Food & Beverage Report 2022
2022/03/22
Food & Beverage Report 2022では、Food & Beverage業界における2021年の業界動向から2022年の注目領域に加え、大手企業とスタートアップの協業事例や国内外スタートアップ紹介など、最先端テクノロジーやイノベーションの取り組みについて幅広く解説していきます。
【目次】
▶2021年の資金調達動向
▶Food&Beverage業界にとってのチャレンジ
▶大手企業×スタートアップ事例紹介
・NestléによるLivingMatrixの買収
・Archer Daniels Midland Company によるSojaproteinの買収
・PepsicoおよびNestléによるOrigin Materialへの出資
▶2022年に飛躍が見込まれるトレンドとスタートアップ
▶最後に
レポート内容の一部ご紹介
2021年の資金調達動向
2021年はFood & Beverage業界にとって1つの区切りとなるタイミングだったと言えます。特に先進国などの成熟した市場においては、パンデミックの影響を受けていたサプライチェーンも徐々にその対応が進み、食を含めた消費者のライフスタイルの大部分もパンデミックへの順応がさらに進みました。
資金調達額は全体的に上昇トレンドであるFoodTechセクターではありますが、これまでとは少々異なるトレンドも見受けられます。これらはいずれも、パンデミックにより初めて明らかになった、またはその顕在化が加速した今後のFood & Beverage業界の進んでいく方向を映したものであり、スタートアップの資金調達からもいくつかその様子が伺えます。特に資金調達額への影響が大きい要因について簡単にまとめていきます。- 各国のフードデリバリー企業の資金調達・上場：
パンデミックで需要が急増したフードデリバリーサービスを提供する企業が、各国で大型の資金調達や上場するケースが相次いでいます。そのビジネスモデルからも、資金調達は大型になる傾向が強く、トレンドそのものへの影響度も小さくありません。Plug and Playのポートフォリオ企業であり、南米エリアにおいてフードを含むデリバリーサービスを提供するRappi（コロンビア共和国）が2021年7月に約$520Mの調達を完了し、2020年の約$300Mに続き大型の資金調達を実施しました。- 代替系たんぱく質への投資の再燃：
大豆ミートに代表される代替肉への投資は、Beyond Meat（アメリカ）の上場などを機に一旦は落ち着きを見せていましたが、直近になり再燃。再現する食品の対象が肉だけでなく、牛乳や卵などたんぱく質摂取には欠かせない他の種にも拡大した他、その再現する手法も大豆による代替のみでなく、発酵などの技術を用いた培養へとその注目はシフトしつつあります。- 垂直農法*への投資拡大：
パンデミックを機に、より食料の安定調達に対する認識が強まりました。そこで、都市部においても野菜が調達できるようにと、注目されたのが垂直農法です。装置産業であることからも、調達額は高額になる傾向があり、大型プレイヤーは他の領域と比較して少ないものの、総額としては大きな調達額となりました。*垂直農法とは、限定的な空間において栽培スペースを縦方向に重ねるなど、垂直方向に栽培を行う農法のこと。
その他調達額こそこれらに満たないものの、将来的な兆しと見受けられるトレンドも複数見受けられ、パンデミックからの若干の経済回復を経て次の変革へ向かう様子が見て取れます。
【図1】引用：CB INSIGHTS 「State of Food Tech Q2’21 Report: Investment & Sector Trends to Watch」P14
Plug and Playでは2017年にFood & Beverageプログラムをシリコンバレーにて立ち上げ、当分野への投資活動も継続的に行なってきています。直近ではアメリカに留まることなく上記のトレンドにも含まれるような、代替タンパク、フードデリバリー、フードロス削減を目的にしたサービスなどへの投資を行なっています。
Food & Beverage業界にとってのチャレンジ
それではどうしてこのようなトレンドが見受けられるのでしょうか？2020年〜2021年にかけて世界ではCOVID-19によるパンデミックがその話題の中心でした。パンデミックにより人々のライフスタイルは大きく変化し、生活を支える飲食の領域においてもその影響を色濃く受けています。パンデミックがなくてもいずれは直面していたであろう流れも含め、以下では特に市場の成熟度が高い国々において、食品・飲食業界が直近で直面しているチャレンジとトレンドについて紹介していきたいと思います。