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「一緒にやりましょう」の声がけから。東芝がスタートアップと取り組む新たな価値創造

2023/10/10

「人と、地球の、明日のために。」をグループ経営理念とし、エネルギー・インフラ・電子デバイス・デジタルソリューションなどさまざまな分野で、創業以来140年以上にわたり社会を支える技術を提供してきた東芝。2019年よりPlug and Play Japanのイノベーション・プラットフォームに参画し*、さまざまな事業分野における豊富な製品群や技術と、スタートアップのデジタル技術・ビジネスアイデアを掛け合わせた新たな価値の創出に取り組んでいます。今回は、オープンイノベーション施策を推進するCPSxデザイン部の相澤氏と齊藤氏に、具体的な活動内容やスタートアップとの協業のポイントなどについてお話を伺いました。

*2019年参画当初はIoTプログラムに参加。その後2021年よりSmart Citiesプログラムへ変更。


Writer: Akiko Sekiguchi


相澤 宏行氏

CPSxデザイン部 CPS戦略室 エキスパート

大手SIer、電機メーカ、精密機械メーカで新規事業の起ち上げ、コンサルティング、経営企画スタッフ、CVC運営などを経験。東芝ではグループ全体に向けたオープンイノベーション推進に従事。(写真左)


齊藤 健二氏

CPSxデザイン部 CPS戦略室 エキスパート

大手電機メーカおよび米国ベンチャー企業、材料メーカで、設計開発、スタートアップとの協業、新規事業企画、米国勤務などを経験。東芝ではグループ全体に向けたオープンイノベーションやDX化プロジェクト推進業務に従事。(写真右)


複数のオープンイノベーション施策で社外との接点を多様化

——お二人が所属されているCPSxデザイン部の役割と、会社としてオープンイノベーション活動に取り組んでいる背景を教えていただけますか?

相澤氏:

東芝では各事業会社が事業を推進していますが、エネルギー、インフラ、電子デバイスといった分野の事業が中心です。「デジタル化を通じて、カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーの実現への貢献を目指す」という経営目標を掲げて、データ活用やDXに取り組んでいますが、各事業会社だけに任せきりにしているとなかなか進みにくいという状況もあり、グループ全体をカバーして新規事業創出やDXを推進していくためにできたのが、CPSxデザイン部です。

「CPS」という概念は、Cyber Physical Systemの略で、サイバー技術とフィジカル技術の融合で新たな価値を創出することを指します。これまで東芝ではハードウェアの技術力でエネルギーなどのインフラを社会に行き渡らせてきた歴史があり、モノを作るのは非常に得意です。しかし今求められているのは、作ったモノがどう使われているのかをデータとして蓄積・分析し、新しい価値としてお客様にお返しするサイクルを作ることです。このIoTの活用にる事業化においては、自社の技術力では足りていないところがたくさんあります。自分たちの技術だけにこだわるだけでなく、技術を持っている企業と一緒に進めていった方が変革が早まるという考え方もあり、オープンイノベーション活動に取り組んでいます。

 


(画像提供:東芝)

——CPSxデザイン部が取り組まれているオープンイノベーションの概要について教えてください。

相澤氏:

我々は2つのオープンイノベーション施策をおこなっています。1つはPlug and Play Japanですね。グローバルなチャネルを駆使して我々のニーズに合ったスタートアップと出会わせていただく、マッチングプラットフォームとして活用しています。

もう一つが、「Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAM」(以下、TOIP)というプロジェクトで、公募形式のビジネスマッチングです。「東芝の既存プロダクトの面白い使い方を募集します」という内容で公募するのですが、ありがたいことに、ご提案をくださる企業が毎回結構な数で集まってきます。また個別にスタートアップへお声がけすることもあり、Plug and Play Japanから紹介された企業を採択した実績もあります。

 

(画像提供:東芝)

企画から実行まで10ヶ月ほどのプログラムで、年1回開催しており、2023年で4回目になります。成果発表会では社長を筆頭にグループ会社の経営陣やコーポレートの役員を含む50人程が一堂に介します。スタートアップの方々にプレゼンしていただくのですが、東芝のエグゼクティブから毎回高い評価を得ています。社長からも「スタートアップはすごい。東芝のテクノロジーをこんな風に活かした事業拡大を考えてくれている。東芝の変革や新規事業を進めていくには、もっとこういう取り組みが増えていかないといけない」というコメントをもらっています。

 

(画像提供:東芝)

——成果をどのように測るかという指標も、オープンイノベーションにおいて重要な点かと思います。PoCは「TOIP」のプログラムに成功指標として組み込まれているのでしょうか?

相澤氏:

取り組むテーマによって成功指標も異なるため、PoCは達成目標ではなく、推奨としています。例えば今年のテーマの一つに量子コンピュータ技術がありますが、これをプログラム期間内にPoCまで含めて取り組むのは現実的ではないので、個別のゴールを設定しています。ただ、実証実験や仮説検証をすれば、確からしさが生まれて、経営陣にも響きやすくなると考えています。

 

——Plug and Play Japanのネットワークと、TOIPを組み合わせて生まれた協業事例について教えていただけますか?

相澤氏:

グループ内に上下水道や鉄道、電波、通信放送など、インフラを支える事業をしている会社があります。そこでは駅の改札機も作っているのですが、QRコードを読み込む機能を持つ改札機の普及を見越して、交通チケットを利用したサービスを企画したメンバーがいたのです。そのアイデアを仮説検証していく際に、プラットフォームに載せるサービスは外部と組んだ方がいいのではという話になりました。そこでPlug and Play Japanから紹介いただいたNearMe(ニアミー)社に入ってもらい、同社の提案で東京メトロ丸の内線の交通チケットと組み合わせた周遊チケットを作る実証実験を行いました。

(画像出典:「『サービス利用+移動』の促進を検証する実証実験の実施について」東芝インフラシステムズニュースリリース 2023年04月11日)

オープンイノベーションはアイデアを社内に売り込む営業活動

——「TOIP」は4回目を迎えますが、反応はいかがですか?

相澤氏:

1〜2回目の時は私1人で取りまとめをしていたのですが、単に募集するだけでは事業部の参加が集まらないだろうと考え、「一緒にやろうよ」とグループ会社の各部門を口説きに回っていました。成果が生まれ始め、徐々にTOIPが社内に浸透していく中で、3回目からは齊藤にもチームに入ってもらい、テーマも3件から6件に増えました。ただ、今も各部門に対して我々が多方面からアプローチして参加を呼びかけているのが現状です。

経営トップへの報告と了承を得ていくことで、やっと前に進んでいくというのが東芝の現在地かもしれません。新しい領域に飛び出せない人や、これまでのやり方で進めたい人もまだ多いです。オープンイノベーションをやろうという人は自然発生的には出てこないと感じているので、まずは「TOIP」に取り組んでもらって成功体験を作るところから始めなければと考えています。

 

——社内理解を高めていく難しさがあると思いますが、どのような巻き込み方をされているのでしょうか?

相澤氏:

我々の仕事は、オープンイノベーションという仕組みを社内に売っていく営業だと思っています。なので、困っている人たちを探すことがスタートです。「新しいことをやりたいけれど自分たちの力だけでは難しい」という人を見つけたら、パートナーとなれそうなスタートアップを紹介し、一緒にディスカッションに入って推進し、経営陣の前で実証を見せ、「これならできそうだ」というところまで落とし込んでいきます。まだまだ、参加をためらっている社員も多いと感じていますが、ビジネスとして成立させるまで何度でもやっていくつもりです。

 

 

また派生プログラムとして「Toshiba Partner Connect(以下PCP)」という活動も始めました。「TOIP」では最終的に経営幹部に提案するところまでおこないますが、それが逆にプレッシャーとなって参加しづらいという声が現場からあがっていました。現場の人間がやりたいと思っても、事業部門の上層部から「ある程度プロダクトを開発してから経営幹部へ見せるべき」と言われ参加をあきらめたケースがあったのです。そこで、経営幹部への成果発表を義務付けない「PCP」を作りました。まずは試しに取り組んでくれる人を増やし、徐々にオープンイノベーションに慣れて、スタートアップと協業することは価値があると体感してもらいたいです。

 

齊藤氏:

やはり大切なのは、社員がやりたい、続けたいと思える体験の積み重ねです。DXが事業部にも響いてきて、スタートアップと連携した新規事業をやりたいと問い合わせてくる人たちが少しずつ増えている。そういった方々と成功事例を生むことで、別の事業部にも取り組みを広げていきたいですね。これだけ大規模な会社だと、事業部の人からするとコーポレートの新規事業部門は遠い存在に感じてしまううです。我々がいろんな部門に入り込んで、人脈を広げていくことも大切だと思います。

 

発想を広げ、未来に向けて可能性をストレッチさせるPlug and Playの価値

——自社でもアクセラレータープログラムを運営される中で、Plug and Playのプラットフォームには、どのような利点を感じていらっしゃいますか?

齊藤氏:

大手企業が多く集まるプラットフォームとして、我々のニーズをヒアリングした上でさらに国内外の動向や市場のトレンドを示してくれたり、新たな協業の提案をしてくれたりと、我々にない第三者の視点を持ち込んでいただける点に大きな価値を感じています。

社内からの意見だけに頼ると、どうしても無難なアイデアに陥りがちです。TOIPは弊社のアセットに共感する企業が中心で、そうではないスタートアップは遠慮して入って来づらい面もあると思います。そこをPlug and Play Japanが間に入ってうまく咀嚼しながらつないでくれるので、スムーズにディスカッションができている点も一つのメリットだと感じています。

 

 

相澤氏:

可能性をストレッチさせてくれる存在ですね。社内事情や忖度は一切関係なく、「ここと組めば、もっとここまで行けるのでは?」「こういう世界って考えたことある?」と我々の目を開かせて、新たな目標設定をしてくれる。これを繰り返していくことで小さくまとまらずに、発想を大きく広げて新規事業に取り組むことができるので、そこに価値を感じています。

 

——スタートアップとやりとりする際に、意識されていることはありますか?

齊藤氏:

事業をちゃんと理解した上で共創の接点を見出したいと考えて、スタートアップの方々とディスカッションしています。色々と聞いてしまって申し訳ないとは思いつつ、スタートアップがどのように弊社と連携したいかをしっかりと確認し、弊社の事業部との接点に気づいたら議論できないか打診し、共創の機会を見出そうと取り組んでいます。

 

相澤氏:

我々だけがTakerになってはダメで、Giveできる存在にならなければいけないと考えています。起業家の方々は、雇用されて月給を受け取る暮らしをしている会社員とは全然違いますよね。生きるか死ぬかの世界の中で、自分たちのやりたいことを信じて、楽しみながら新しいものを生み出していく人たちは、日本が大切にするべき貴重な存在だと私は思っています。そんなスタートアップから成長するための機会を我々は受け取っているわけですから、相手をリスペクトした上でその成長に貢献したいし、こちらもお返しできるものがないと対等なパートナーシップではないと思っています。

 

——スタートアップに向けたメッセージをいただけますか。

相澤氏:

まずはフランクにお話ししましょう。「会社対会社」以前に「人対人」が大事で、「この人と一緒にやりたい」という信頼関係がないとプロジェクトは前に進まないと思っています。ざっくばらんにやっていることを教えていただきたいですし、こちらも東芝のことを正直にお伝えしたいですね。

 

齊藤氏:

東芝は歴史の長い会社ではありますが、りオープンにし、スタートアップ連携で新規事業をしていきたいので、ぜひ気軽に声をかけてください。また日本市場だけでなく、グローバルな領域を含めて広い世界で新規事業立ち上げを構想していけたらと思っています。

 

 

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