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遠隔医療によるメンタルヘルスケアを可能にするスタートアップ7社

2022/09/13

(本記事は Plug and Play本社の記事「遠隔医療によるメンタルヘルスへの意識改革」を翻訳し、一部補足したものです)

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行は社会に前代未聞の課題を生み出し、多くの業界は今もなおそれらに直面しています。パンデミックによる多くの困難がもたらされた一方で、革新的なテクノロジーはさまざまな業界の構図を変化させてきました。

中でも、デジタル領域への急激なシフトは遠隔医療の利用を確固たるものにしました。遠隔医療の利用数はコロナウイルスが流行する以前から38倍に増加しています。遠隔医療の利用数増加により、患者は適切な治療をより簡便かつ手軽に受けることができるようになり、医療業界に明るい展望をもたらしています。

このような医療業界における遠隔医療の高まりは、メンタルヘルスに関する注目度も高める結果となり、患者が自分に合った最適な治療を受けられる機会を提供することに貢献しています。


メンタルヘルスに関する議論の推進:概要

メンタルヘルスについて話すことは、社会的にしばしばスティグマ(恥ずべき烙印)とされてきました。言い換えれば、これまで多くの人が口にすることをはばかってきた話題です。

その原因は、人々がこのトピックについて相談するにあたって利用できるリソースが不足していることだといえます。

事実、米国では、臨床レベルの精神的問題を抱える人の45%が、専門家にかかろうとしていません。これは、パニック発作、うつ病、心臓発作、そして時には死など、生命を脅かす問題につながる可能性があります。

さらに、リモートワークへの急激な移行は、メンタルヘルスについて相談することの重要性を浮き彫りにしました。パンデミックのためにリモートワークに移行した社会人の70%が、現在は週末も仕事をしていると述べ、回答者の45%が労働時間も長くなっていると回答しています。このような長時間労働と、仕事からプライベートを切り離すことができないという状況とが相まって、孤立感や燃え尽き症候群を引き起こし、深刻な健康上の懸念が高まっているのです。

メンタルヘルスについての議論の必要性が高まってきていることは明らかです。社会的な認識の変化は、人々がメンタルヘルスについて声を上げるために必要な後押しを与えています。遠隔医療は、その議論の活発化を実現させるものです。

遠隔医療は、対面診療に存在する障害をなくします。医療従事者が不足している地域でも、患者が世界のどこにいても、必要とする時にケアを提供することを可能にします。

プライス・ウォーターハウス・クーパー社が行った調査によると、18歳から44歳までの回答者の72%が、対面ではなく遠隔で精神的な治療を受けることを希望していることがわかりました。

遠隔医療は医療業界に新しい変革をもたらし、メンタルヘルスにまつわる恐怖心を払拭し、誰もが自分の心の病について話す機会を与えてくれています。

メンタルヘルスの議論促進に向けて:遠隔医療に対する理解

遠隔医療には、同期型、非同期型、遠隔モニタリング型があり、それぞれの方法で患者がメンタルヘルスについて相談する機会を提供します。

同期型
同期型遠隔医療は、電話やライブ音声・映像によるリアルタイムな対話が行われ、大部分のメンタルヘルスの治療がこの方法で行われています。この方法では、患者は相談する医療提供者とリアルタイムでオープンに医療上の悩みを相談することができます。

非同期型
非同期型遠隔医療には、「保存と転送」技術が含まれます。患者は事前にメッセージを入力し、それを医療提供者のポータルにアップロードし、医療提供者が後でそれを確認することができます。この方法により、患者は医療提供者と直接、安全かつ確実にコミュニケーションをとることができます。

遠隔患者モニタリング
遠隔患者モニタリングは、患者の臨床測定値を直接送信するもので、リアルタイムで行われる場合もあれば、そうでない場合もあります。

これら3つの遠隔医療は、患者さんが医療提供者と直接コミュニケーションをとるためのスムーズでシンプルな方法を提供します。それぞれの方法に長所と短所がありますが、その柔軟性によって患者が必要とするリソースを提供でき、遠隔医療とメンタルヘルスをつなぐ役割を果たしています。

メンタルヘルスの議論を押し進める:次に来るものは?

現代の新しいテクノロジーは医療の可能性を拡げ、新しい形のケアを提供すると同時に、メンタルヘルスに対するネガティブなイメージを脱却させました。デジタル領域と実世界のギャップを埋める遠隔医療は、医療業界全体の展望を一新させ、今後もその傾向は続くと予想されています。

現在、多くの企業がメンタルヘルスの重要性を認識し、メンタルヘルスの問題に取り組んでいます。例えば、Beam Health社のCEOは最近、メンタルヘルスで苦しんでいることを打ち明け、同社は中小規模のメンタルヘルスクリニックに無料で遠隔医療を利用できるようにしました。

多くのスタートアップがこの問題に取り組み、議論を進め、この話題に対する認識を高め、誰もがメンタルヘルスについて発言する機会を平等に持てるような革新的なソリューションを生み出し始めています。今後に向けて、メンタルヘルスの分野でよりポジティブな変化が期待されています。

メンタルヘルス分野の国内注目スタートアップ7社

海外では従業員のメンタルヘルスケアプログラムを企業向けに提供するLyra Healthのようにメンタルヘルス分野でのユニコーン企業が生まれており、今後日本国内でもこの分野のスタートアップに対する注目はさらに高まっていくと予想されます。Plug and Play Japanのアクセラレータープログラムでこれまで採択した中から、メンタルヘルス分野に特化したスタートアップをご紹介します。

従来は問診と対面での視診により診断されることが多かったメンタルヘルス疾患に対し、計量しづらい「感情」を生体データとして取得することでこころの状態を可視化したり、認知行動療法をデジタル化することで治療へのハードルを下げたりといったソリューションがみられます。

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