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組織の垣根を超え、協力して顧客への提供価値を向上。明治安田のオープンイノベーション

2024/02/13

2024年に発足20周年を迎えた明治安田生命保険相互会社(以下、「明治安田※」)。同社は2020年に10年計画「MY Mutual Way 2030」をスタートさせました。顧客の健康づくりをサポートする「みんなの健活プロジェクト」や地域社会の活性化に貢献する「地元の元気プロジェクト」、人とデジタルの効果的な融合をめざすDX戦略を推進しています。Plug and Playを活用したスタートアップとの協業や社内改革のポイントについて、3つの組織それぞれの立場からお話を伺いました。

※新たなブランド通称「明治安田」には、従来の生命保険会社としての役割を超えて、「健康寿命の延伸」と「地方創生の推進」に向けた新たな役割発揮をしていくことへの決意が込められております。


Writer: Akiko Sekiguchi


プロフィール(50音順・本文中敬称略)


梅崎 宏斗氏(写真中央)

デジタル戦略部 デジタル戦略企画グループ 主任スタッフ


髙瀬 寛氏(写真右)

サービス開発部 サービス調査グループ 主任スタッフ


本田 祐一郎氏(写真左)

企画部 新規ビジネス開発グループ 主任スタッフ


3つの組織が多面的にイノベーションを促進

——御社では3つのグループがそれぞれオープンイノベーションに取り組んでおられます。どのように役割分担されているのでしょうか?

梅崎:

Plug and Playとのお付き合いは2019年ごろに遡ると認識しています。当初はイノベーションを推進する前身組織が技術探索やスタートアップとの連携を模索していましたが、組織改正とともに、現在は3つの組織が窓口を務めています。

私が在籍するデジタル戦略部は、当社のDX戦略を全社横断的に推進する組織です。これまで「デザイン(Design)」「デジタル(Digital)」「データ(Data)」という3つの「D」をキーワードに、社内の他の組織と協働しながら取り組んできました。また、スタートアップ等との接触を通じて、新たな取組みのヒントを得ることも大切にしてきました。

髙瀬:

サービス開発部では、ヘルスケアの領域でのサービス開発とスタートアップとの協業に取り組んでいます。Plug and Playの企業パートナーのチャンピオンとして、スタートアップとの窓口となる役割も務めています。

本田:

企画部(新規ビジネス開発グループ)は、「生命保険の機能の拡張」をめざし、社外の方々との積極的な協働・連携を通じた新しいビジネスモデルの探索・特定、実装に向けた計画策定と開発を主導する役割を担っております。大企業やスタートアップ、アカデミアとの協働・連携や、その手段のひとつとして立ち上げたCVCの運営に加え、本日この取材で利用しているコワーキングスペース「Meijiyasuda Open-innovation Co-create Center」の運営も行なっています。

 

お客様への新たな提供価値の探索

——オープンイノベーションを通じてどういったゴールを目指しておられるのでしょうか?

梅崎:

新型コロナウイルス感染症によりお客様の意識も変化し、接触を避けつつビジネスを継続するコンタクトレスエコノミーが浸透しました。保険会社としてもこれまで主流であった対面での営業に加え、非対面のさまざまなタッチポイントによる連絡・相談・手続き等の手段を準備する必要性に直面し、環境を整備してきました。

オープンイノベーションで目指すゴールとしては、個人の考えですが、お客様との接点を「広げる」ことと「深める」ことが挙げられると思います。一般的に、保険商品に対して「難しい」というイメージを抱いている方も多く、特に若年層とは接点が限られています。社外の多様な業種の方々と組んで親しみやすいタッチポイントを作り、お客様との繋がりを広げていくことが今後はより一層重要になっていくと思います。

また、ご病気になられた時やお亡くなりになられた時に経済的に支援するだけでなく、「明治安田の保険に加入しておいてよかった」と日常的に感じていただけるような、既存の保険の枠に囚われないサービスを付加価値として提供することで、お客様との関係を深めていくことも重要であると考えます。

 

髙瀬:

生命保険業界はどの会社も同じような商品を扱っており、支払い事由を比べてみてもあまり差がつきません。差別化して生き残っていくためには、当社にしかできないプラスアルファの価値が必要です。サービス開発部では、疾病の予防や発症後の重症化を防ぐヘルスケアサービスを考えています。お客様は病気になりたいわけではありませんし、健康を維持していただくことで給付金の支払いが減れば、結果的に当社にとってもプラスになると考えています。

当社が提供している「みんなの健活プロジェクト」では、お客様の健康状態や病気のリスクを「知る」、イベントなどを通して健康を「つくる」、健康診断や病気の予防を促進する商品で健康を「続ける」の3分野で取り組んでいます。当社の「ベストスタイル」という商品は、血圧や脂質などの健康診断項目の結果が良ければキャッシュバック金額が多いという、健康面でも経済面でもプラスになるシステムになっています。

刺激や着想を与え、社内理解を促進

——大企業の中で新しいビジネスを作るのは簡単ではないと思いますが、CVCはどのような経緯でスタートしたのでしょうか?

本田:

お客様にとって魅力的なサービスをお届けするためには、スタートアップのような先進的な企業の協力が不可欠だと考えています。こうした考えのもと、これまでもスタートアップとの協業をいくつか行なってまいりましたが、その多くがスタートアップ自ら、または関係する企業などからのご紹介でした。当社の取組みを理解し、共感いただいたからこそ当社に声をかけていただいているため、スムーズに協業を進められるという利点はありますが、そのような受動的な取組みはサステイナブルな活動とは言えません。

Plug and Playと関わっていく中で、私たちがこれまでリーチできていなかった魅力的なスタートアップがたくさんいるということを実感し、能動的にスタートアップを探しに行けるような態勢構築が急務だという思いが強くなりました。そのような思いから、急ピッチで検討を進め、CVCを立ち上げるという結論に至りました。

本来であれば、スタートアップとの協業の進め方やその意義を社内に理解してもらうために複数のPoCを実施しながら実績と経験を積み、CVCという枠組みにつなげるのがセオリーかもしれませんしかしながら、当社がCVCの設立の検討を開始した2022年には、すでに多くの会社がCVCを立ち上げて取組みを加速させていたこともあり、スピード感をもって態勢を整えることを優先しました。その分、担当者としては、実際にこの枠組みを機能させられるかどうかという点を心配していました。

CVCの円滑な運営のためには、デジタル戦略部やサービス開発部だけでなく、関係するさまざまな組織を巻き込む必要があります。よって、CVC設立と同時に、スタートアップの情報を共有しあってディスカッションする組織横断的な会議体を作りました。当社では、中期経営計画をベースに3年サイクルの事業を計画していますが、スタートアップは5年先、10年先の成功をめざしてビジネスを進めています。このような時間軸の違いから、当初は、社内がスタートアップとの協業に前向きな雰囲気になるのはかなり先になるだろうと思っていました。しかし、組織横断の会議体で話をしていると、それぞれが「5年、10年後にあるべき当社の姿を思い描いて日々の業務に取り組んでいるということが共有され、このタイミングでCVCにチャレンジしたことは間違いではなかったと思いました

——デジタル戦略部でも、社内外のコネクションを広げる活動を行っているそうですね。

梅崎:

はい。生命保険は長期にわたってお客様に安心をお届けしていくことが最優先のミッションですが、事業の特性上、慎重な意思決定が求められます。とはいえ変化の激しい世の中では、取組みのスピードアップや前例に囚われないチャレンジも重要であると考えており、社内に良い意味で刺激を与えたいという想いから、外部のスピーカーをお呼びした社内向けの勉強会を自主的に始めました。全国からも様々な立場の従業員が参加しており、前向きなフィードバックをいただいています。

明治安田社内向けスタートアップピッチイベント 「生成AIピッチイベント」の開催

2023年12月、明治安田とPlug and Playは共同で、生成AIをテーマとしたスタートアップピッチイベントを開催し、明治安田の7つの組織から合計50名以上に参加いただきました。このイベントでは、事前に各組織から収集した経営課題やニーズに基づいて、国内外から参加した6社のスタートアップに協業アイデアをピッチいただき、各組織との協業アイデアを議論する機会として開催しました。保険業界の特有の課題を事前にスタートアップ各社に共有することで、当日は具体的な提携方法に関する議論が盛んに行われました。

自社にない視点やノウハウをスタートアップから学ぶ

——明治安田はPlug and Playのアクセラレータープログラムにおいて、2022年『Ecosystem Builder Award』も受賞されています。Plug and Playを活用したことで、社内でどのような効果や影響がありましたか?

梅崎:

これまでは新規事業を企画する際にはコンサルタントやITベンダーに相談して、サービスや手段を提案してもらう方法しかありませんでした。しかしPlug and Playと協働することで、さまざまなスタートアップと接する機会が増えて、光る原石のようなサービスをお持ちの『尖った』企業と繋がれるようになり、課題解決手段の選択肢が広がったと感じています。

髙瀬:

「みんなの健活プロジェクト」の一環として、睡眠計測、身体計測、血糖管理などのデジタルテクノロジーを導入しています。保険とヘルスケア領域は隣接しているものの、当社では保険以外のサービスに対しては、その開発ノウハウも、お客様のニーズの把握手法も持ち合わせておらず、スタートアップと協業して当社独自のサービスを作り上げていくことは初めての経験でした。

梅崎:

スタートアップとの協業においては、当社としてどのような未来を描いていくかという『WILL(意志)』をスタートアップに伝えて共感していただくことが重要になるので、協業に結びついたケースはその点がうまく行ったのではないかと思っています。

——今後、連携を希望するスタートアップへのメッセージをいただけますか?

梅崎:

生成AIやデジタルツインなどテクノロジーの進歩は目まぐるしいものがありますが、今後も先進技術の活用を通じて、お客さまとのタッチポイントの高度化や従業員の業務効率化・高度化に取り組んでいきたいと考えています。引き続き、みなさまとの繋がりや意見交換の機会を大切にしたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

髙瀬:

「生命保険の機能の拡張」をテーマに商品とサービスの一体提供を目指しています。お客様に喜んでいただけるサービスを開発して、健康寿命を伸ばし幸せに過ごす時間を増やしていきたいと考えていますので、私たちが思いつかなかったようなアイデアをぜひご提案いただければと思っています。

本田:

これまで当社がオープンイノベーションに取り組んでいることを外部のみなさまに周知できる手段がなかったのですが、昨年12月に当社のオープンイノベーションにかかる取組みを紹介するウェブサイト(https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/mocc/)を公開しております。ぜひご覧ください。

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