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Partner Story | 株式会社三菱UFJ銀行

2020/07/17

Plug and Playは2020年7月14日に日本支社設立から3周年を迎えました。3周年を記念し、Plug and Playを支えてくださっている皆様からお話を伺い、インタビュー記事を制作しました。

株式会社三菱UFJ銀行は、Plug and Playが日本に支社を設立する前からご支援いただいている企業パートナーの1社です。Plug and Playとの出会いから、スタートアップ支援とオープンイノベーション、そして今後のビジョンについてお話しいただきました。

(2020年7月17日公開、2024年7月11日内容一部修正)


Interviewee:


榊原 知良 氏

株式会社三菱UFJ銀行 成長産業支援室 企画開発グループ 調査役

2012年 三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)入行。刈谷支店にて自動車部品製造業を中心 とした中堅中小企業向け営業を経験した後、国内営業本部にて公共セクター及び小売流通セクター大企業の営業を担当。2018年から法人·リテール企画部にてスタートアップ企業のお客さまに 対するMUFGの支援策·戦略の企画·立案に従事。企画の一環でMUFGにおけるスタートアップ支援専門部署の創設検討に携わり、2019年5月の成長産業支援室の立ち上げに合わせ当室に着任、現在に至る。


永井 健太郎 氏

株式会社三菱UFJ銀行 成長産業支援室 企画開発グループ 調査役

2008年 株式会社三菱東京UFJ銀行(現:株式会社三菱UFJ銀行)入行。梅田支店にて、中堅·中小企業向け営業に従事した後、大阪営業本部にて電機メーカーを中心とした在関西大企業向け営業を経験。その後、2014年に三菱UFJモルガン·スタンレー証券株式会社 経営企画部へ出向、企画関連業務に従事し、2017年からは同社におけるデジタル活用に関する戦略·施策の企画立案を担当。2019年に銀行に帰任し、現在、成長産業支援室においてMUFGのスタートアップ支援に関する施策立案·推進を担当。


桂 寧志 氏

株式会社三菱UFJ銀行 デジタル企画部 企画グループ 調査役

2009年東大阪中央支社にて4年間(半年のOJTを含む)中堅·中小企業の法人取引を経験。リーマンショック後の町工場を中心とするマーケットで新規開拓から既存取引まで幅広く経験。その後コーポレートファイナンス、ストラクチャードファイナンスなどを活用したファイナンススキームを提案·組成するコーポレート情報営業部にて、契約書作成業務から営業業務までフロント·バック業務共に経験。その後社内公募制度を活用してデジタル企画部に異動。オープンイノベーションの推進を担当。MUFG Digital Acceleratorでは運営責任者としてプログラムを指揮する。


オープンイノベーションの始まりとPlug and Playとの出会い

ーー貴社のオープンイノベーションのイニシアチブについてお伺いしたいです。いつ頃、どのような形で始められたのでしょうか?

桂:

歴史でいくと2015年頃から立ち上げていて、今のデジ タル企画部の前身となるデジタルイノベーション推進室で オープンイノベーションの推進をしていました。 世の中の潮流をみてオープンイノベーションの大切さを 学んで、当時は属人的に立ち上げをしました。そこから今 でも続いているアクセラレータープログラム[*1]やFintech Challenge[*2]に繋がっています。ハッカソンや、アイディアソンなど小粒で動き出した時期になりますね。

問題意識としては、銀行や金融機関はどうしても新しいことを始めるときに開発に2、3年かかってしまい、更に、莫大な資金がかかってしまう。できた頃には、世の中のニーズとの差が出てきてしまうということがありました。なんとかできないかということで、その手法の一つにオープンイノベ ーションがあるのではないかということで始まったのが経緯です。

ーーPlug and Playをどう活用されていますか?

永井:

MUFGのオープンイノベーションの観点と、成長産業支援のミッションであるスタートアップを支援するという観点の二つがあります。

桂:

まず、オープンイノベーション、コラボレーションの観点から行きますと、Plug and Playはシリコンバレーでもともとおつきあいをさせていただいていて、当時そこのMUFGシリコンバレー駐在メンバーを通して西海岸で情報収集・ソーシングをしてもらうということをし ていました。その後、Plug and Playが日本にくるということで日本でも同じ活動を始めて、活用させていただくという形になりました。 アクセラレーションを通して、スタートアップさんと会ってネ ットワーキングさせていただいたり、直接MUFG各社、各部のところに繋いだりしながら活用させていただいています。
実際にPlug and Play Japanで採択されたスタートアップ のみなさんが、弊社のアクセラレータープログラムで採択されたり、逆に弊 社のプログラムを卒業したスタートアップがPlug and Playのプログラムに入ったりしてますし、そういった相互の関係ができているんですね。

榊原:

成長産業支援の場合は、MUFGの本業として融資や様々なサービスを通じた成長支援、主幹事証券としての上場支援を行います。この観点でのPlug and Playの活用方法は 、まさに有 望なスタートアップをご紹介頂くというところです。最近ではSIX[*3]の件もご相談させて頂きましたが、今後は我々のお取引先をPlug and Playにご紹介する、という相互の取組も出来ればと思っています。
MUFGでは過去よりスタートアップ支援はやっていましたが 、2015年から特に力を入れるようになりました。その中で、大企業やアカデミアなどが絡んだエコシステムが日本に必要なのではないかという問題意識を持っていた時にPlug and Playの存在を知り、且つ日本に進出するということで、日本進出をお手伝いさせて頂いたのがPlug and Playと接点を持たせて頂いた経緯です。今では国内の全6Verticalでパートナーとして活動させていただいています。

協業ですとやはりFintechの側面が強いのですが、成長産業支援の観点ではご支援する先にカテゴリーの壁はないので、MUFGの本業と少し距離のある例えばHealthtechや Insurtechでもご紹介頂くスタートアップには常にアプローチをしています。実際にセレクション*4から短い期間で融資を実行させて頂いたり、三菱UFJキャピタルが投資を決めたりといったご支援の実績も出ています。

桂:

いくつかありまして、Plug and Playのプログラムと僕らのプログラムでの共通でいうと、Moxtra,Inc[*4]さんと株式会社GINKAN[*5]さん、RESTAR株式会社[*6]さん、株式会社ノーニューフォークスタジオ[*7]さん、ノバルス株式会社[*8]さんが採択されています。我々のネットワークで関係性があるVCさんからもスタートアップの情報はもらっているんですが、Plug and Playの特徴的なところはVCが入ってないような、例えばMoxtra, Incさんなどと出会えることですね。VCさんだと接点持っていないところだと思うんですが 、そういうスタートアップさんともPlug and Playを通して我々も接点を持てていると思うんですね。これはPlug and Playのグローバルなネットワークの中でこそできている強みなのではないかと思います。

ーースタートアップとか関わって行く中で、気にかけていること、意識していることはありますか?

桂:

僕らはオープンイノベーションをメインに考えている ので、僕らの課題が何なのかをちゃんと認識した上で、スタートアップに対して 何ができるかを考える必要があります。そういう意味では立場の上下がなくお互いの求めるものが合致すれば、協業が可能になりますし、だからこそアクセラレーターも回ってきていると思っています。頼り頼られの関係をうまく作ることが大切だと思っています。

永井:

スタートアップの方々も感じていらっしゃることかもしれませんが、例えば、大企業はスタートアップと比べると慎重なことも多く、どうしても時間が掛かってしまうことがあります 。その為自社のスタンスや物事の進め方、時間軸などの実状をしっかりとスタートアップにも伝えるよう気に意識しています。また、同時に、我々が社内やお客さまにスタートアップを紹介する時に、スタートアップの事業に対する考え方や、どのような技術を持っているのか、などをしっかり説明できるように、きちんと理解することを意識して います。それらを事前にうまく双方にコミュニケートすることで、極力早く次に繋がるような工夫をしており、うまく繋ぐことが大切だと思っています。

榊原:

金融支援をする立場としては、金融機関の実態を良い意味でも悪い意味でもしっかりとお伝えをすることが最初の入り方として大事かなと思っています。金融は意外と幅広いサービスを提供することが可能です。グループで従業員が何万人もいて様々なセクター毎にスペシャリストがいるので、海外の税制や金融規制に詳しいとか、また株式の話やオーナーの資本構成の話がしたいというご要望があっても、ライトパーソンはいます。でもそうした側面は、金融機関と深く付き合っていかないと分からないことでもあるんですね。そういった、金融機関が出来ることをお伝えすることは大事だと思っています。

ーー事業部にどう繋げるか、難しさを感じられることもあるんでしょうか?

桂:

デジタル企画部と成長産業支援室が全ての窓口になっているわけではなく、各部各組織がそれぞれリサーチ活動はしています。その中で企画を検討して「ここでやろう」と着手していることもあるので、紹介するタイミングが悪けれ ばもう別のところでやっている場合だったり、すでに違うことをやっていることもあります。 タイミングと時期の折り合いが悪ければうまく行かないことが多いので、その点を見極めキャッチするためには課題がどういうことかを理解して、今何をしているのか、今どこに何が必要なのかをマクロで見る必要があるのかなと思います。でも組織も大きいので、マクロで見ることがなかなか難しいですよね。

永井:

こういうことに困っているだろうな、こういうものが欲しいだろうなと思いつつも、紹介するタイミングがズレると難しいですね。一方、紹介し続けるしかないということも事実ですね 。その為、関係部が取り組んでいることをしっかり理解しつつ、紹介し続けるという両輪で対応しなくてはいけないと思っています。

ーー成長産業支援室でもMUFGの事業部にスタートアップのソリューションを紹介されていますか?

榊原:

はい、ケースバイケースで紹介しています。

桂:

銀行の機能の一環としてビジネスマッチングがあるので全社的にやっています。対お客さんなのか、対銀行の部署なのか、というのが違いですね。

スタートアップとの連携 ー 共に成長

ーーみなさんはどのようにしてイノベーションに関わることになったのでしょうか? スタートアップと働く部署に入る前・入った後で、どんな違いがありましたか?

榊原:

直前は営業で一部上場の大企業を担当していました 。その後 、異動して企画に来て、スタートアップ支援を考えるミッションを与えられました。前任から引き継ぐ際には知らない単語ばかりで、「VCって何?」という状態でのスタ ートでした。そこからとにかく知識を集めた感じです。

永井:

今の部署の前の部署の時に少しFintech関連の業務に関わっていました。元々はスタートアップのことは何も知らなかったですが、業務の中で、実際にスタートアップと面談して 、どのような技術があるのかと、スタートアップの考え方やスピード感を学んでいった感じですね。

ーー大企業とスタートアップは進め方や文化がだいぶ違いますよね。スタートアップから得た影響などはありますか?

永井:

自分が働いている会社の文化やルールが当たり前のように感じてしまいかねないですが、それらをこれから 作っていくスタートアップの方々と関わることで、様々な考え、文化などを知る良い機会になっていると思います。

榊原:

スタートアップの方って凄く良い情熱を持っているんですね。こうやりたい!こうした未来を創りたい!と、未来についてワクワクして語って頂いて熱量も凄いから、お話ししていて単純に楽しいというのがまずあります。というのも、そういう方ってあまり大企業にはいなくて、大企業だと 縦割り横割りで細分化されたミッションだけを追っているので「何をしたいですか?」という質問に答えられる人は多くないと思います。そういう意味で、スタートアップの方と接する中でモチベートされる部分は非常にあります。

次の3年をみる

ーーこれからの3年間を見たときに、どんなことをしてみたいと思われますか?

桂:

間違いなく、コロナの状況下でデジタル化が必須だと思っています。オープンイノベーションを加速していく必要性は高まっていくと思います。ただ金融機関はセキュリティが重要です。お客さまの大切な資産を預かっているので、 強固なシステムを作るのは求めざるをえないところだと思っています。 一方、シード期のスタートアップの方とも新しいことを一緒 に見つけていきたいです。Fintechだけではなく色々なバーティカルの中で色々な人と会って、「 新しい金融機関のありかた」みたいなものをいろんな角度から一緒に作っていくということが、これからやっていきたいことです。

永井:

良くも悪くも、コロナの影響で転換期を迎えていると思います。金融機関だけではなく、大企業、スタートアップに関わらずあらゆる会社、このコロナをきっかけに社会全体が変わらざるを得ない状況になっていると思います。その中で、オープンイノベーションはますます加速していくと思いますし、スタートアップの重要性も更に高まるのでは、と思っています。成長産業支援室には、スタートアップのビジネス面、ファイナンス面のご支援をするというミッションがあり、Plug and Playのプログラムを通じてこれまで様々なスタートアップとの接点を持つことが出来ていますが、今後もPlug and Playを通じてより多くのスタートアップと接点を持つことが出来たらと思っています。また、スタートアップのご支援だけでなく、スタートアップに関する様々な潮流を掴みながら、お客さまに貢献していきたいと思っています。

榊原:

このコロナ禍で一つ出てきたキーワードは、サステイナブルな環境を作ることだと思います。ESG/SDGs含め様々な場面・企業において「サステイナブル」にフォーカスが当たって来ていると感じています。また過去の景気後退局面でも様々な有望スタートアップが出てきた事実を鑑みれば、足許コロナが招いているこの景気変動局面でも何も新しいものが出てこないことは無いと思っています。
そうしたことを考えた時に、サステイナブルな社会を作れるスタートアップに対して僕らが如何にリスクテイクして支援をしていけるかが鍵だと思っています。
またサステイナブルと言っても分野は多岐に渡ると思っていて、非接触型社会やECの購買体験向上だったりと、コロナ禍で経験したニューノーマルの維持、またその利便性やUXの向上が重要になると思います。更にその中でも優劣がついて徐々に頭角を現す先が出てくると思いますが、そうした先が資金調達やサポートを求めているときに、スムーズに僕らが手を差し伸べられる存在になっていきたいと思います。

参考リンク

*1 https://innovation.mufg.jp/accelerator/
*2 Fintech Challenge: MUFG 主催ハッカソン
*3 SIX: SIX powered by Plug and Play Plug and Play Japan 主催のマンスリーピッチイベント
*4 Moxtra, Inc: Fintech Batch2 スタートアップ | 1 つの流体エンゲージメントプラットフォームでビジネスを行うために必要なすべてのツールを提供
*5 株式会社GINKAN: Fintech Batch 1 スタートアップ | トークンエコノミーによって世界中で良質なレストランを発見できる SNS プラットフォームを構築
*6 RESTAR 株式会社 : Fintech Batch 2 スタートアップ | 不動産 · 地理分析を行う不動産事業者及び金融機関向けの、オンラインプラットフォームサービスであ る「REMETIS」を開発
*7 株式会社ノーニューフォークスタジオ :IoT Batch 2 スタートアップ | センサやコンピュータを内蔵した靴「スマートフットウェア」の開発
*8 ノバルス株式会社 : IoT Batch 1 スタートアップ | コネクティッド · バッテリーでメーカーからサービス事業者まで、あらゆる業種業態でのデジタルトランス フォーメーションを実現

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