日本のスタートアップ、シリコンバレーへ！Silicon Valley Summitレポート

シリコンバレーのPlug and Play本社では、毎年2回『Summit（サミット）』と呼ばれる大規模なピッチイベントを開催しています。世界中から145社のスタートアップが集結する中、日本からも7社のスタートアップが参加しました。3日間にわたって、日本のスタートアップがどのようにSummitを活用したのかをレポートします。

Writer: Kaito Nozawa

Program Associate

Silicon Valley Summitの概要

Plug and Playでは日々多くのイベントが開催されていますが、中でもSummitは最大規模のオフラインイベントです。今回は16のVertical（バーティカル：業界テーマ）、145社のスタートアップ、そして18人以上のゲストスピーカーを迎えておこなわれました。

3日間ののべ参加者数は約3000人。大手企業、スタートアップ、投資家、そしてスタートアップ・エコシステム関係者などさまざまな人が集いました。

参加スタートアップ

今回参加したのは、2017年から2022年にかけてPlug and Play Japanのアクセラレータープログラムに採択されたスタートアップ7社。その中には、プログラムの成果発表会「EXPO」において、優勝した経験を持つEXPO Winnerも含まれます。EXPO Winnerのスタートアップに対しては、賞品として今回の渡航費の一部をPlug and Play Japanが負担したほか*、すべてのスタートアップに対して、渡航前に説明会を開くなどの事前準備サポートをおこないました。(*2023年以降のプログラムにおけるアワードの特典内容は未定です。）

• 株式会社ALGO ARTIS: 物流業界等への運用計画の自動最適化AIソリューションの提供
• 株式会社アロマジョイン: 映像や音響と連動する香り制御装置の研究開発及び販売
• 株式会社Atomis: 多孔性配位高分子PCP/MOFを活用した新用途開発
• Flora Co., Ltd.: 妊婦向け健康管理アプリの提供
• 株式会社Poetics:音声の物理的特徴量から音声データベースを元に、喜怒哀楽や気分の浮き沈みを判定する音声感情解析AIを開発
• Visionaries 777: 業界のリーダー向けにAR / VR / MR＆IOTスイートを提供

他、1社（社名非公開）

スタートアップの参加目的は、「シリコンバレーの雰囲気を知りたい」という回答が最も多く、次いで「アメリカ市場について知りたい」という回答が続きました。

事前のリクエストに応じて、Summitに来場する投資家やメンターとの面談を設定したり、英語でのピッチコーチングをしたりするなどのサポートをおこないました。

ピッチ登壇

参加スタートアップのうち、アロマジョインとPoeticsの2社がそれぞれBrand&RetailとInsurtechのステージに登壇しピッチを行いました。アメリカをはじめ世界各国からのスタートアップがピッチする中で両社とも大手企業からの注目を集め、その後のネットワーキングにつなげていました。

ネットワーキング

Summitにおける最大の関心事はネットワーキングです。今回は3社のスタートアップ（ALGO ALTIS、アロマジョイン、Visionaries 777）がブースを出展し、デモをおこないました。各業界テーマごとのネットワーキングに加えて、レセプションでは複数のテーマの参加者が自由に参加し、繋がりを構築していました。

またPlug and Playのオフラインイベントでは、Brellaというネットワーキングのためのアプリを活用して、参加者同士が面談アポイントを取ったり、当日ピッチを聞いた後にメッセージを送ったりしてつながることのできる機会を提供しています。Summitの会場では繋がりたい方がいる場合、その方とピンポイントで知り合うことが難しいため、ブース訪問やレセプション以外にもBrellaをネットワーキングに活用している人が多く見られました。

参加したスタートアップの声

3日間を通して、7社合計で90件以上の大手企業とのミーティングを実施することができ、スタートアップからも満足度の高いイベントだったというフィードバックを得ました。コメントを一部ご紹介します。

[イベントの成果]

• いくつかの日系企業/グローバル企業とのコネクションができたので、継続的にお話ができそうです。
• アメリカの大手企業とのコネクションができた。
• 販売マーケティング会社とつながり、現在話し合いを進めております。
• エンジェル投資家とつながることができた。
• 個別商談は具体的な話のきっかけづくりとして非常に貴重でした。
• 自社の領域に合ったテーマの個別セッションに参加できて良かった。
• パネルセッションが良かったです。成功しているリーダーがどのように課題に向き合い乗り越えたかを聞くことができました。

[より準備が必要だと感じたもの]

• ポスターやフライヤーを準備していたが、QRコードだけでも良いのだということが現地に行ってわかった。
• もう少し会社紹介の資料（ピッチスライド、デモシステム）を充実させておけばよかった。
• Brellaで事前にもっとミーティングを設定しておけばよかった。ランダムに人に話しかけるのは思っていたよりも難しかった。