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Plug and Play Japanが提供するアクセラレータープログラムとは

2021/07/21

設立から4年で採択したスタートアップは594社。Plug and Play Japanが提供するアクセラレータープログラムとは

この数年で事業会社や行政など、各企業・団体で実施しているアクセラレーター*プログラム数は大幅に増加しており、自社サービスとマッチングさせ事業機会の創出を目指すものや、地方活性化を目的としたものまで、内容は千差万別です。
また実施期間も3ヶ月のものもあれば、半年におよぶプログラムもあり、各社の特色を活かしたプログラム構成になっています。
一方で実際にどのようなサポートプログラムになっているのか分かりづらい側面もあり、今回はPlug and Play Japanが提供するアクセラレータープログラムについて改めてご紹介すべく、Plug and Play Japan 代表であるPhillipにインタビューしました。

*アクセラレーターとは、スタートアップの事業成長を加速させることを目的に、必要な支援を提供する企業や団体を指している。


Plug and Play Japan株式会社 代表取締役 Phillip Vincent

2014年シリコンバレーのPlug and Play本社にジョインし、IoT部門とMobility部門のプログラムのディレクター、および日本企業のアカウントマネージャーを兼務。2017年にPlug and Play Japanを立ち上げる。現在はPlug and Play JapanのCEO & Managing Partnerを務める。


ーーPlug and Playのアクセラレータープログラムはシード期のスタートアップのみ採択しているのでしょうか。

Plug and Playでは、アクセラレータープログラムに入るスタートアップは、シードとシリーズAが8割を占めていますが、シリーズB以降のスタートアップも採択しており、さまざまなフェーズのスタートアップを幅広く支援しています。
日本においては、現在45社の大手企業がパートナーとして参画しており、2017年の開設からこれまでに594社のスタートアップをサポートしてきました(2021年6月末時点)。当社のアクセラレータープログラムは、大手企業とのコンソーシアム型であり、業界を超えた複数社同士での連携が生まれるような設計になっているのが、特徴の1つです。スタートアップの成長支援だけではなく、大手企業のイノベーション支援も実施することで、日本から世界へ、世界から日本へ可能性を広げ、グローバル規模で時代をリードする企業が多数輩出されるイノベーションプラットフォームの構築を目指しています。

上記数字はユニーク数であり、過去採択を含む採択スタートアップ594社(2021年6月末時点)のうち、複数回採択された重複分に関しては含まれていません。

ーーなぜ大手企業とのコンソーシアム型でプログラムを提供しているのでしょうか。1対複数社のマッチングの方が効率が良いのではないでしょうか。

オープンイノベーションを推進していくには、コンソーシアム型が最も効果的だと思っています。あらゆる企業や人、情報など、掛け合わさる数が多くなるほどイノベーションにおける成果が増えていきます。多角的な視点からアイデアを得られることでセレンディピティ(偶発的な出会いや発見)が高まり、協業事例も多く生まれやすくなります。

もちろん業界の垣根を超えた共創の必要性は理解できるものの、実施に行うことは難しいものです。ただ、難しいからこそ機会を増やさなければいけない。世界を見ても簡単に生まれたイノベーションはありません。色んな苦労や出会い、セレンディピティからイノベーションは生まれ、その機会を作るために必要な情報を提供しているのがPlug and Playというイノベーションプラットフォームであり、ツールとしてのアクセラレータープログラムであると考えています。

ーーどのようなプログラム内容なのでしょうか。また、参加するスタートアップのメリットについて教えてください。

当社のプログラムは、スタートアップから参加費用やエクイティ(株式)を取ることはありません
プログラム期間中は、当社のメンターである各領域のプロに1on1で直接相談ができるメンタリングセッションや、協業におけるリーガルプロセスに関する講座、ブランディング関連のセミナーやピッチコーチング、業界を超えた大手企業とのクロスマッチングイベントなど多岐にわたるコンテンツで構成されており、スタートアップは自社で必要だと思うコンテンツを自由に選ぶことができます

また、スタートアップや企業パートナーとは隔週で面談を実施しており、進捗確認だけではなく、個社別に抱えている課題や困りごとなどをヒアリングし、可能な限りスムーズに協業案件やプロジェクトが進むように、ハンズオンでサポートをしています。アクセラレータープログラムの最後には成果を発表する場としてSummitと呼ばれるDemo Dayを開催しているのですが、起業パートナーや採択スタートアップだけではなく、一般参加者やメディアも参加するため、多数のオーディエンスの前で自社についてPRできる良い機会にもなっています。

全てのプログラムが終了した際には、必ずスタートアップと企業パートナーへインタビューを実施し、いただいた意見をもとにプログラムの構成や、各コンテンツの実施タイミングなど、より効果的なプログラムへ昇華させるための継続的なアップデートを行っています。
例えばなるべく多くの企業パートナーに会いたいというニーズが高ければ、プログラム期間の序盤のほうに大手企業とのマッチングイベントを開催することもありますし、事業成長の基盤となるような知識を得たいというリクエストが多ければ、リーガルやHRに関するセッションを優先したコンテンツ構成にすることもあります。
とはいえ、単純にコンテンツ数を増やせば良いわけでもないので、本質的に必要とされている質の高いプログラム内容を提供するよう努めています

ーー採択されているスタートアップの約半分を海外スタートアップが占めていますが、プログラム内容は日本のスタートアップと異なるのでしょうか。

海外スタートアップ向けのコンテンツは、国内スタートアップと同じものもありますが、プログラム内容は多少異なります。例えば、日本市場の規模や現在のスタートアップ環境など全体に関するセミナーや、日本進出におけるハウツーをテーマにしたセミナーなども実施しています。
海外スタートアップに関しては、ある程度他国のマーケットで成功しているレイターステージの企業が多かったり、海外の他のアクセラレータープログラムを経験していたりするので、ビジネスモデルの構築や事業成長に関する基本的な知識がある状態です。そのため国内スタートアップに比べて、必要なコンテンツ内容は必然的に変わってきます。

ーー一部プログラムを除いては3ヶ月のプログラム構成になっていますが、Plug and Play Japanとして、この凝縮された期間設定にした背景について教えてください。

大手企業にとって、3ヶ月では成果を出しづらいように思われるかもしれません。また、成果と一言にいっても協業に進むための担当者ベースでの具体的な話し合いまで持っていくことをスコープにしているところもあれば、PoC(Proof of Concept)の具体案まで策定することをスコープにしている企業もあります。企業によって3ヶ月後に設定している到達地点はさまざまですが、それぞれが描いたスコープに向かい取り組むうえで、3ヶ月という期間は良い緊張感を生みだし、濃縮した時間へと繋げられる適切な期間だと考えています。

他方、スタートアップにとっての3ヶ月は事業を発展・存続させていくうえで非常に重要です。アクセラレータープログラムの主要目的である「スタートアップの成長」において必要な人的ネットワークの提供や、将来的な資金調達や協業可能性の機会提供など、それぞれが掲げた目標の達成に向け、当社としても必要なコンテンツを過不足なく提供しきれる期間だと考えています。

ーー2021年6月よりスタートしたSummer/Fall 2021 Batchで7回目のプログラムとなりますが、起ち上げ初期と比較して変化はありますか。

実際にPoCの数や協業の件数も年々増えてきています。
国内におけるアクセラレータープログラムに対する理解が深化・発展してきており、スタートアップ・エコシステムも進化してきている中で、大手企業のスタートアップとの付き合い方やオープンイノベーションに対する向き合い方は、確実に変化してきています。
これまでは、スタートアップがピッチを行い、大手企業が提案を受けるような受け身型だった企業が、リバースピッチなどで自社が抱えている課題をスタートアップに伝え、自主的に情報を取りにいくなど、スタートアップと積極的に協創していこうという姿勢が強くなってきています。
また社内における課題の洗い出しや、ニーズヒアリング、関係各所との連携など、以前よりもスムーズに進められている企業が増えてきているように思います。

この流れをより強めていくためにも、企業パートナー向けに、オープンイノベーションへの理解を促すような啓発セミナーや、スタートアップとの付き合い方、協業可能性の探索から具体的なアイデアへの落とし込み方など、Plug and Play Japanとして大手企業のイノベーション活動をサポートするようなセミナーやイベントも多数用意しています。大手企業とスタートアップが実際に実証実験に移行する段階に行くまでに、いかに両者で準備ができている状態を作れるかが、私たちの役割だと考えています。

ーー今後の展望について教えてください。

そもそもオープンイノベーションは民間企業だけではなく、大学や政府、地方自治体など、エコシステム全体で取り組むものです。独立系の調査会社「Startup Genome」が昨年6月に発表した「Global Startup Ecosystem Ranking 2020」では、東京は15位にランクインしていますが、他国に比べて日本のスタートアップ数やユニコーン企業数は非常に少ないのが現状です。
日本におけるスタートアップ・エコシステムをより一層発展させていくためにも、企業・大学・行政との連携をさらに広げていきたいと考えています。
また、日本のスタートアップが海外で成功できるような座組みも強化していきたいです。例えば、Plug and Play Japanのアクセラレータープログラムを経験したスタートアップには、Plug and Playの他拠点のプログラムに参加できるようにしたり、海外の大手企業とのマッチング機会を提供したりするなど、当社のネットワークを最大限に活用した支援を提供できるよう、当社のサービスも進化を続けていきたいと思います。

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