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九州地域のオープンイノベーションを活性化「CONNECT」レポート

2023/07/21

Plug and Play Japanの企業パートナーである第一生命保険株式会社(以下、第一生命)は2023年5月25日、九州に拠点をおく企業と全国のスタートアップを繋ぎ、地域のオープンイノベーションを促進するピッチイベント「CONNECT」を開催しました。本レポートでは、イベントの内容を振り返るとともに、九州のオープンイノベーション促進における今後の展望についても考えていきたいと思います。


Writer: Isamu Nishiyama

Partner Success Manager, Insurtech


1. なぜ九州でオープンイノベーションなのか

半導体や自動車、農林水産を主要産業とする九州地方の地域生産額は47兆円にも上り、世界29位のノルウェーと同等の経済規模*と言われています。また、九州は地理的にもソウルや上海、台北などの東アジアを代表する都市とも近く海外との接点としても、日本のオープンイノベーション促進において重要な地域と言えるでしょう。
福岡は九州の中でもとりわけスタートアップ支援の機運が高く、アジアの今後を担うリーダー都市として高いポテンシャルを有しており、第一生命が地方で初めて主催するイベントの場所に相応しいと考えました。

今回のイベントは、Plug and Playと第一生命、同地域のイノベーションを牽引するベンチャーキャピタルである株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ(以下、FVP)およびFukuokaGrowthNext(以下、FGN)と共に開催いたしました。

2. 地域企業と日本全国のスタートアップを”CONNECT”する

イベント冒頭では、イベント開催社各社より開会挨拶を行いました。第一生命・執行役員の江口氏からは、異なる会社が出会い、お互いに知見を共有しあう「オープンイノベーション」という概念から得られるメリットの大きさや、本イベントの重要性についてお話しいただきました。

FVP・取締役常務の松延氏は「2016年の創業以降、FGN入居スタートアップを含む、多くのスタートアップに投資してきた。本イベントに来場された方々が、登壇企業とはもちろん、参加者同士でネットワーキングを楽しんでいただく機会になってほしい」と述べ、FGN・運営委員会事務局長の池田氏は、「九州地方のオープンイノベーション推進において、大企業とスタートアップのマッチングは大きな課題である。(コンテンツの一つである東急株式会社・伊藤氏のパネルに言及し)渋谷で日本一のオープンイノベーションコミュニティを作る東急様のお取り組みも是非とも参考にさせていただきたい」と語りました。

3. INCJ 代表取締役会長 CEO 志賀氏「九州から更なるオープン イノベーションのうねりを」

1つ目の講演では、株式会社INCJ 代表取締役会長 CEO 志賀 俊之氏(以下、志賀氏)が登壇しました。かつて、日産自動車にてルノーとのアライアンス交渉やリバイバルプランの立案を牽引された同氏から、大手企業とスタートアップの協業の重要性についてお話しいただきました。この中で志賀氏は、大手企業の競争力の現状や課題を述べた上で、オープンイノベーション推進において重要な5つの要素を解説しました。

■ ニーズがあれば社外含めてシーズを探す
■ 伴走・協働しながら共創する姿勢
■ 対等なビジネスパートナーとしての意識
■ リスクを理解し、迅速・前向きに意思決定する
■ 異なるマインド・文化を受け入れる

4. スタートアップピッチ

メインコンテンツであるスタートアップピッチにおいては、以下の6社が登壇しました。

株式会社アドインテ
独自端末「AIBeacon」等を活用し、流通小売のリテールメディア構築とメーカーの販促を支援

エーテンラボ株式会社
禁煙補助薬とアプリで仲間と励ましあって禁煙を達成する生活習慣改善プログラム「みんチャレ禁煙」を展開

株式会社ORANGE kitchen
社員の健康づくりをオンラインによる専門プログラムで実施し、生産性向上と健康経営銘柄取得をサポート

株式会社トライエッティング
需要予測・来客数予測・売上予測など、幅広く活用可能なノーコードAIクラウド「UMWELT」を開発・提供

株式会社PID
BtoCビジネス向けにアプリ不要の多言語チャットコミュニケーションツール「Dicon」を開発・提供

株式会社LOZI
調達、製造、物流までを一気通貫で可視化 / 効率化するSmartBarcode(スマートバーコード)を開発

すでに大企業との協業実績を豊富に持つ各社から、九州の企業への様々な協業提案が行われ、刺激的なピッチセッションとなりました。

5. 東急株式会社 伊藤氏が紹介する共創の奥義「実行し続ける」

スタートアップによるピッチ後は、実際に大手企業でスタートアップとの協業を推進するイノ ベーターが、新規事業創出の取り組みにおけるポイントを解説するセッションを行いました。 登壇した東急株式会社 渋谷開発事業部 プロジェクト推進第二グループ 課長の伊藤秀俊氏(以下、伊藤氏)は、2017 年からスタートアップ共創事業に関わり、グループリーダーとして Plug and Play Japanと共創したインキュベーション施設開業をはじめ、100 以上のプロジェクトを実行するなど、東急グループにおけるイノベーション推進の第一人者として活躍されています。これらの取り組みから伊藤氏は、共創を生み出すポイントは「どんな小さなことでも実行し続けること」であり、実行し続ける手段として「計画的偶発性の設計」が重要と述べ、 そのポイントとして以下を説明しました。

■ 組織内外それぞれに良き伴走者を見つけること
■ どんな些細なことでも自分が実行/発信し続けること
■ 収益以外の定量目標を組織内外にコミットすること

6. パネルディスカッション ~東急プラザにおける暗号資産の活用~

最後のコンテンツであるパネルディスカッションでは、Web3.0領域で事業を展開するスタートアップ、株式会社GINKANの代表取締役 CEOである神谷 知愛氏(以下、神谷氏)が登壇し、伊藤氏とのパネルディスカッションを実施しました。ここでは、東急不動産とGINKANの協業事例(詳細はこちら)をご紹介いただき、協業に至った経緯、ポイントについて解説いただくとともに、大手企業とスタートアップのパートナーシップのあり方について、会場からの質問をふまえた議論がなされました。

最後に〜九州以外のスタートアップに会える貴重な機会

今回のイベントは、企業の経営企画部や事業開発部、投資部といった所属から合計104名の方々に参加頂きました。参加企業からは「九州以外のスタートアップに会える貴重な機会で、今後もこのような機会があれば声かけして欲しい」「当日個別面談をするも今回はニーズが合わなかったが、直接話ができて良かった」「協業可能性について継続議論することになり、2回目の面談も設定した」といった前向きなコメントを多く頂戴しています。

また、第一生命・常務執行役員九州営業本部長の三好氏からは、「スタートアップにとっては九州進出の機会に、参加企業にとっては九州のスタートアップだけでなく全国のスタートアップとのイノベーション創出機会になればと思い、当社が主催することを決定した。これからも生命保険の枠を超えたビジネスパートナーとしてのお手伝いができるように努めていきたい」と述べ、地域社会に貢献して持続可能な未来を築くことに尽力していくとしました。

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Plug and Play Japanは「コンソーシアム型プログラムの提供」「グローバルネットワークを活かしたアクセラレータープログラムの提供」、そして「ベンチャーキャピタル投資によるスタートアップ支援」を強みとしており、革新的な技術やアイデアを持ち合わせるスタートアップと大手企業との共創を支援することで、イノベーションプラットフォームの構築を目指しています。
これまでに、京都・大阪・愛知といった地域でイベントを開催しており、『イノベーションをどこでも、誰にでも』のミッションのもと、今後も、こういったイベントを通じた大手企業とスタートアップの協業支援を行ってまいります。

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