SDGsに貢献する世界のスタートアップ5社
2023/06/12
2030年までに持続可能な開発目標(以下SDGs)を達成することは、政府のみならず、企業にとっても取り組むべき重要課題です。
2015年9月の国連サミットにて、193カ国の加盟国は、持続可能なより良い未来を目指すためにSDGsを採択しました。国連でのSDGs採択は、2030年までに世界のあらゆる重要課題の解決に向けて各国が真剣に取り組むという決意の表れでした。
採択から8年が経過した今、私たちに残された時間はわずか7年となり、世界や人々の生活に影響を及ぼす重要課題の解決に向けて取り組みを加速化させていくことが求められています。一般的には政府や国際機関が環境、社会、経済など多岐にわたる課題に対処する責任があると考られていますが、企業もSDGsを達成する上で重要な役割を果たしていかなければなりません。
目次
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SDGsが企業にとって重要な理由
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年間12兆米ドルの市場機会を創出
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循環型社会への変革
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消費者や投資家に対するイメージ向上
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従業員のエンゲージメント向上
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規制の遵守
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SDGs達成に貢献するスタートアップ
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SDGsの第2目標:飢餓をゼロに
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SDGsの第14目標:海の豊かさを守ろう
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SDGsの第12目標:つくる責任、つかう責任
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SDGsの第7目標:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
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SDGsの第6目標:安全な水とトイレを世界中に
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Plug and PlayのSDGsへの貢献
(本記事は Plug and Play APACの記事を翻訳し、一部補足したものです)
SDGsが企業にとって重要な理由
年間12兆米ドルの市場機会を創出
現代のビジネスを取り巻く環境は、前例のない困難やチャンスに溢れています。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが長きに渡り世界を混迷の渦にさらしたように、今後も世界経済はごく短期間で再び大きな混乱に陥る可能性があります。新技術の急速な普及、資源の枯渇、サプライチェーンの寸断などは多様な領域の企業に深刻な影響をもたらす危険性を孕んでいます。
しかし、リスクは同時に新たな機会も生み出します。人口過剰、天然資源の枯渇、気候変動、そして世界的な保健リスクなど、グローバルな問題の出現は新たな市場を生み出すからです。国連が掲げる17のSDGs達成を目指す企業は、これらの課題を転換する革新的なイノベーションをもたらすとともに、世界経済の更なる発展を牽引する可能性を秘めています。 2017年にBusiness&Sustainable Development Commissionが発表した報告書によると、SDGs達成に向けた取り組みを実施することを通じて、年間12兆ドル以上の市場機会を創出することができると言われています。
循環型社会への変革
過去数十年に渡る人類の経済・社会活動は、環境汚染や生物多様性の喪失などの深刻な問題を引き起こしています。日々多くの廃棄物が排出されることで、有限な天然資源は枯渇する傾向にあります。特に深刻と言えるのが、プラスチック汚染問題です。世界では日々処理しきれないほどのプラスチックが使用され、年間総排出量の4億トンのうちわずか9%しかリサイクルされていない状況にあります。
廃棄物は枯渇することがないため、再生可能資源として無限に活用することができます。そのため、この危機をビジネスチャンスと捉え、これらの素材から最大限の価値を生み出す革新的な再利用方法を考案していくことが重要です。既存の資源に価値を見出し、SDGsの達成に向けて取り組むことで、企業は材料調達に関連するコストを削減し、環境や社会に対する影響を低減していくことが期待されます。
環境・持続可能性に配慮した包括的な取り組みにより、企業は経費を削減することができます。例えば、エネルギー効率の優れた建物や機器の活用はエネルギー費用の削減に寄与し、廃棄物削減は処分コストの低減につながります。また、サステナビリティに取り組むことによって、企業が規制の違反金を支払わなければならない事態を回避するとともに、サプライチェーンの寸断による事業リスクを低減することにも役立ちます。
このように、サステナビリティを事業に取り入れることによって、企業は廃棄物の削減、資源保護、温室効果ガス排出の最小化を通じて環境への影響を軽減することができます。その結果、環境にやさしく、持続可能な地球の未来を実現することが可能になります。
消費者や投資家に対するイメージ向上
インターネットの普及により、人々は幅広い情報にアクセスできるようになりました。その結果、消費者や投資家といったステークホルダーは、企業が環境や社会に与えるネガティブな影響についてより敏感かつ正確な認識を深めることが可能となりました。彼らは、持続可能な未来を創造するためには企業がこれまで以上に社会的責任を自覚し、その責務を果たしていく必要があると考えています。
しかし、投資家を動かすのは環境への配慮という倫理的観念のみではありません。投資リターンを最大化することが投資家の目的であることは言うまでもなく、より多くの投資家が、SDGsに沿ったビジネスに投資することで、高い投資収益率を得られると予見しているのです。
2021年にシュローダーズ・グローバル・インベスターズが行った調査によると、投資家の半数以上が持続可能性に基づくポートフォリオを構築することについて肯定的な意見を有しています。なぜなら、気候変動などの環境・社会問題が長期的な投資リスクを引き起こすことが予見される中、持続可能な投資に重点を置くことは、投資家に長期的な利益を生み出すことを可能とするとともに、リスクに晒されている環境・人々への支援を強化することが期待されているからです
消費者が企業に対して環境や社会に与える影響に責任を取るように強く求める風潮は、サステナビリティへの取り組みの普及に繋がるとともに、企業のブランドイメージ向上と競争優位を確立するのにも役立ちます。環境・社会的責任を果たしていると広く認知されている企業は、自社の貢献をアピールし、更なる顧客・従業員・投資家を獲得することが可能となるでしょう。
「企業はSDGsを達成する上で不可欠なパートナーです。企業は、自社のコアビジネスを通じてSDGs達成に貢献することができます。我々は世界中の企業に対して、自社のビジネスが与える影響を正しく評価した上で、意欲的な目標を設定し、その結果を広く公開していくよう求めていきます。」
従業員のエンゲージメント向上
従業員のエンゲージメントは、ビジネスの成功と持続性にとっても不可欠な要素です。自分たちの仕事につながりを感じ、大きな社会課題に貢献していると感じると、従業員のモチベーションは高まり、生産性が向上する傾向があります。つまり、サステナビリティへの取り組みの実践を通じて、従業員に目的意識が芽生え、エンゲージメントを高めることが期待できます。
さらに、企業が環境や社会に対して責任をもったコミットメントを行っていると従業員が感じるようになると、環境・社会的責任を果たす自社に誇りを持ち、自社の価値観により共感するようになると考えられます。社内意識の向上は、従業員が仕事により邁進するきっかけとなり、生産性やイノベーション、従業員の定着率を改善することにもつながるでしょう。
同時に、企業において持続可能な取り組みを進めることは、従業員に対し、クリエイティブにSDGsの達成に向けて取り組む機会を提供することに繋がります。これにより、従業員は会社の一員としての当事者意識を持ち、サステナビリティにコミットしているという自信を得ることにつながっていきます。
規制の遵守
持続可能性がますます重要な課題となる昨今、各国政府はサステナビリティへの取り組みを促進するための規制・政策を実施し始めています。各企業はサステナビリティへの取り組みを進めることで、これらの新たな規制に適合し、罰金や法的措置を回避することができます。
企業は環境や社会的責任を果たしていることを示すことにより、ステークホルダーとの信頼関係を構築し、企業に対する評価も改善されます。その結果、共通の価値観を有する顧客や従業員、投資家を引きつけることが可能となります。
また、SDGsの達成に積極的なアプローチを取ることで、その業界を主導し、他社より競争優位な立場を獲得することにつながります。さらに、共通の価値観を有し、社会にポジティブな影響を与える企業で働くことに関心がある、優秀な人材を獲得引きつけるという効果も期待できます。
SDGs達成に貢献するスタートアップ
SDG Goal 2: Zero Hunger ー 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を実現し、持続可能な農業を推進する
現在、世界における主要な死因の一つは飢餓です。国連によると、COVID-19パンデミックは世界的に食料確保の不安定化を引き起こし、8億人以上の飢餓者を出したと言われています。
世界には資源が豊富に存在する一方、十分な食糧にアクセスできない人々が世界人口の約10%にものぼり、栄養失調の顕著な増加がグローバルな社会課題となっています。さらに、ウクライナ侵攻によって物価の上昇や食料供給網の寸断が生じ、食料不安は世界で深刻かつ喫緊の課題となっています。
同時に、地球温暖化の進行や海面上昇の増加は、熱波、干ばつ、大規模な山火事といった深刻な環境災害に拍車をかけています。このように不安定かつ予測不能な気象条件下で、世界中の農業従事者が安定的な食糧生産に苦心しています。
9兆ドル以上の価値がある農産業では、需要が枯渇することはないということもあり、持続可能な食糧生産を実施していく責任はビジネスプレーヤーにもあると言えます。幸いなことに、現代技術は農業を持続可能に進化させ、効率的かつ環境への負荷を抑えた形で食糧を大量生産することが可能となっています。
本記事では、SDGsの第2目標である「飢餓をゼロに」を目指し活躍する、Plug and Playと関連のあるスタートアップをご紹介します。
Solar Foods : 空気から栄養豊富なタンパク質を生産し、食料の安定確保を実現する。
従来農業においては、生産物や家畜を育成するための良好な土地・気候条件が必要となります。農業活動によって排出される温室効果ガスは、総排出量の3分の1にのぼるという側面が指摘されています。もし、食料生産供給網から環境破壊につながる要素を取り除き、あらゆる場所で食料を作ることを可能にする仕組みがあるとしたらどうでしょう?
Solar Foodsは、ガス発酵によって生産される天然タンパク質であるSoleinを開発しました。この生成プロセスでは、空気、水、エネルギーの3つの成分のみを必要とするため、植物ベースのタンパク質カテゴリーに含まれないのが特徴です。Soleinは、本質的には研究所で育てられる単細胞微生物であり、生産性の低い条件下でも生成が可能であるとともに、将来的に商業利用が可能になった場合、世界中で安定的にタンパク質を確保することにもつながります。
Solar Foodsは、Plug and PlayのSmart CitiesアクセラレータープログラムのBatch2に参加し、農業や天候、気候に依存しない従来の食品生産の方法を再定義するコンセプトを提案しています。
SDGsの第14目標:海の豊かさを守ろう ー 海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
地球が居住可能であるための資源と環境を提供するクリーンな海洋は、我々人類が存続していくうえで不可欠な存在です。しかし、長年に渡り私たちが行ってきた経済・社会活動は、かつて豊富にあった海洋資源に深刻な損害を与えています。すでに85%以上の海洋および海洋生態系が人間の活動によって危機に晒され、世界中の海洋生物に不可逆的なダメージをもたらしている現状を踏まえ、汚染や乱獲から海の生命を保護していく必要があります。
海産物は、最良のタンパク質摂取源の一つであり、近年、多くの人々の食生活において主食としてより好まれる傾向にあります。過去数十年におけるペスカタリアン的ライフスタイルと健康意識の上昇、さらには都市化・人口急増による需要の高まりもその人気に寄与していると言えます。その反面、海産物業界が市場の需要に応えるため、非倫理的な手段を選択する事態にも発展しています。
世界は今、新しい時代に突入しようとしています。2023年4月に8カ国で実施された調査によると、調査対象者の3分の2が、環境を害しかねない大量漁獲方法ではなく持続可能な手法で捕獲された海産物に対して、より高い価格を支払う意思があることを示しました。しかし、持続可能な養殖の開発は発展途上の段階にあるため、海洋生態系の回復には依然として長い道のりが続くと想定されています。そのような中、Umami Meatsが開発した単一幹細胞技術は、海の生命を完全に保全する代替方法になりえるでしょう。
Umami Meats: : 海洋生物を脅かすことなく、持続可能な海産物の未来を育むことを目指す。
Umami Meatsは、天然・養殖と比べ真に持続可能な、「捕獲ではなく育成された」海産物を市場に提供します。Umami Meatsが開発した細胞培養海産物は、従来の海産物と同様の栄養価を持つだけではなく、年間2兆匹以上の魚が捕獲されている現在の海洋生物環境の保全に貢献し、海洋生態系が再生されることを可能にするでしょう。
Umami Meatsは、Plug and Playポートフォリオ企業であり、2020年から従来のシーフードと同等の美味しさを持つ食体験を消費者に提供しています。同社は、海産物の航空輸送によって生成されるCO2排出量を最大95%削減することや、養殖による排出量と比較し約60%のCO2を削減することを目指しています。
SDGsの第12目標:つくる責任、つかう責任 ー 持続可能な消費生産体制を確保する
豊富な自然資源を提供してくれる地球ですが、人間の社会・経済活動の活発化に伴う需要増加により、有限資源の枯渇が深刻化しています。これらの資源問題は、人間社会が資源を賢明に活用する努力を怠り、自然が供給できる以上の資源を消費しているという、無知や怠慢に起因しています。
最も深刻な問題の一つは、プラスチックの無責任な生産、使用、廃棄です。過去30年間で、プラスチックの消費量は4倍に増加しています。プラスチックは再利用されればされるほど、より毒性が強まります。この背景には、プラスチックの分解や有害物質の放出、時間の経過によるプラスチック内の毒素の蓄積など、複数の要因が存在しています。また、生成されたほとんどのプラスチックはリサイクルを経ずに、海や陸地にゴミとして放出されています。
現在、多くの国々がプラスチック性廃棄物を焼却することでこの問題を解決しようと試みています。しかし、プラスチック性廃棄物の焼却はさらなる生態系汚染を引き起こしかねません。プラスチックの焼却処理は有害な化学物質・汚染物質を空気、土壌、水中に放出するという面から問題があり、人間の健康や環境に悪影響を及ぼす可能性があると考えられています。
プラスチックを燃焼することで発生する、ダイオキシン、フラン、その他有害物質は大気汚染を引き起こし、人間・動物の健康に長期的な悪影響を及ぼすことが懸念されます。また、プラスチックの燃焼は、気候変動に直結する温室効果ガスの増加にもつながります。これらリスクの存在にもかかわらず、一部の国では、廃棄物管理の代替策がないことや、不適切な環境規制のため、プラスチックの焼却から脱却できずにいるのが現状です。
地球への環境負担を好転させるにあたって、我々はどのような持続可能な利用・生産手法を講じることができるのでしょうか?
Alterpacks : 廃棄物を100%生分解性由来の包装材料に変換し、プラスチック汚染や食品廃棄物の危機に対処する
プラスチック汚染に終止符を打つ唯一の解決策は、プラスチックを削減することです。2021年に排出された使い捨てプラスチック廃棄物の量が1億3900万トンにのぼることを考えると、廃棄物ゼロに向けて、プラスチック包装の削減が求められるでしょう。
プラスチックが環境に与える影響を減らすためには、政府やコミュニティが協力し、リサイクルや堆肥化などより持続可能で環境に優しい廃棄物管理方法の開発を進めることが重要になります。
この点において、環境問題への貢献が期待されるのがPlug and Playのポートフォリオ企業であるAlterpacksです。同社は、有機食品廃棄物を再利用して完全に新しい包装オプションを作り出すことにより、循環型経済(サーキュラー・エコノミー)の形成に貢献しています。同社が提供する製品はプラスチックとは異なり、天然の原材料から作られた100%生分解性の食品容器となっています。
Alterpacksの取り組みの特徴は、アジアで容易に入手できる過剰供給食品をアップサイクルして、地元の需要に応えるという点です。同社は消費と生産のサイクルの実現に向けた取り組みを促進するだけでなく、世界経済に年間約9400億ドルの損失をもたらす食品廃棄物問題の改善にも貢献しています。
Alterpacksの創設者兼CEO、Karen Cheahは、2030年までにプラスチックと食品廃棄物の発生を減らせるよう、SDG目標12の達成に向けて取り組んでいくと述べています。
「Alterpacksの使命は、廃棄物を利用して、使い捨てのプラスチック製品の代わりとなる食品容器を作ることです。Alterpacksは廃棄された穀物に新たな経済的価値を見出し、アップサイクルすることで再利用に繋げています。」
「Alterpacksは、技術力を最大の強みとする新素材企業です。私たちの歩みは、使い古された穀物を加工して容器を作るところから始まりました。これはまだ始まりにすぎません。十分な量の廃棄物を確保することで、プラスチックと戦える同等水準の価格を目指しています。これにより、ビジネスや消費者が最も懸念するであろう、安定した価格と高い性能という二つの要素に対応しうる製品の提供を実現していきます。」
SDGsの第7目標:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに ー すべての人々の、安価かつ信頼できる 持続可能な近代的なエネルギーへの アクセスを確保する
世界の経済活動の約80%が化石燃料によって賄われている現在、化石燃料は世界で最も使用されているエネルギー源となっています。しかし、化石燃料への過度な依存は、非常にリスクが高いと言えます。化石燃料の燃焼は二酸化炭素排出量増加の最大の要因であり、過去数十年、減速の兆しが見えません。
再生可能なクリーンエネルギー源への移行は、今後数十年にわたって私たちが直面する最も重要な課題の一つです。技術の進歩により、クリーンエネルギーのコストは低減してきましたが、今後30年で化石燃料から完全に脱却することは現実的でない状況です。
しかし、化石燃料からの完全脱却が難しいからといって2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロ(ネットゼロ)を達成することが不可能であるという意味ではありません。オックスフォード大学、地球システム科学の教授であるマイルズ・アレン氏は、人類が二酸化炭素を安全に処理することに焦点を当てることがまず重要であると述べています。そして二酸化炭素の安定的な処理は、二酸化炭素発生源での処理、あるいは大気中での再回収を可能とする二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術によって実現が見込まれます。
Carbon Ridge: 二酸化炭素の総排出量を5分の1に引き下げる二酸化炭素の回収・貯留技術を実現
2022年現在、商業的なCCS施設は世界中で30ヵ所が稼働しており、新たに164ヵ所が建設中です。これらの施設では、年間の全世界の二酸化炭素排出量の1%未満しか回収できていません。現状におけるCCSの稼働は十分ではありませんが、前述したCCSプロジェクトの完成時には合計で年間2億4400万メートルトンの二酸化炭素を回収・貯留することが可能となり、ネットゼロ達成への実効的な貢献が期待されます。
とりわけ、急速に発展している船舶業界では、温室効果ガスの迅速な削減を目指す姿勢が求められています。Plug and Play の投資先スタートアップの一つであるCarbon Ridgeは、船舶業界向けの炭素回収・貯留(CCS)ソリューションを開発しており、近い将来、低コストで大型船舶内での二酸化炭素・温室効果ガスの大幅な削減を可能とする解決策を提供することが見込まれます。
Carbon Ridgeが持つ革新的なシステムは、従来のCCS技術と比較して75%の容積削減を実現する、高い運動環境での運用に特化した非常に優れた技術となります。
SDGsの第6目標:安全な水とトイレを世界中に ー すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
安全な水、保健、および衛生環境へのアクセスは、最も基本的な健康・福祉的権利である一方、世界人口の3人に1人は依然として清潔な水へのアクセスができない状況に置かれています。さらに、2050年には50億人が水不足の影響を受けると推定されており、グローバルレベルでの水・衛生問題の悪化が懸念されます。
また、水・衛生問題は第三世界や発展途上国に限った課題ではありません。アメリカでは、80%以上の水路がPFASと呼ばれる消費者製品や産業製品の製造過程で生成される12,000種類からなる化学物質によって汚染されているとされます。これらの化学物質は「永久化学物質」として知られており、自然に分解せず、環境や私たちの体内に蓄積される可能性が指摘されています。
先進国では、安全な水が当たり前にあると考えがちです。国際社会は長年に渡り、清潔な飲み水へのアクセスを確保するためにさまざまな努力策を講じてきましたが、各地域における衛生環境の不備、水質汚染などの要素がこれらの進展を阻む壁となっています。
KETOS: 水質問題における人工知能(AI)の活用を通じた、清潔な水と衛生設備の普遍的提供
水源の質を人間の手で徹底管理をすることは困難かもしれません。しかし、KETOSが開発したIoTセンサーソリューションにより、エンドユーザーが安全基準を満たす清潔な水にアクセスをすることが可能となります。
KETOSの使命は、データサイエンスとIoTの組み合わせを通じた水の安全性に関わる各種課題を解決する所にあります。24時間365日の自動管理を行うモニタリングシステムを通じてリアルタイムでの水質データの提供を実現することが可能です。このプラットフォームは、予測分析レポート機能により、水質の問題が発生する前にその特定をすることも可能となっています。
現在シリーズB*での資金調達中であるKETOSは、Plug and Playのポートフォリオ企業として、2015年以来、水質と水の使用に関する質の高い情報提供に取り組んでいます。KETOSの自動水質監視ソリューションにより、自治体が水質異常を早期に検出し、既存インフラの大幅改修をせずとも、清潔な非汚染水を供給し続けることが可能となっています。
* オリジナル記事が公開された2023年2月時点
Plug and PlayにおけるSDGsへの貢献
過去4年間、Plug and PlayはSDGsの達成に貢献するイノベーションを推進することを目指して、サステナビリティの最前線に立ってきました。私たちは、スタートアップを結集し、サステナビリティ分野でのイノベーションギャップを埋めることに務め、最も重要な国際課題である環境、社会、経済問題に挑戦し続けています。
2019年10月、サステナビリティ・バーティカルを立ち上げて以来、私たちは30以上の企業パートナーと協働し、世界8つの国際拠点にて、30ものポートフォリオ企業への投資を通じてSDGs達成のための取り組みを推進してきました。また、「廃棄プラスチックを無くす国際アライアンス」(AEPW)と共に、「Clean4Change」運動を立ち上げ、クリーンな環境の実現に向けた活動を推進しています。さらに、私たちのポートフォリオ企業であるLitteratiとの協業により、ゴミ収集の進捗状況を可視化することができました。このキャンペーンを通じて、140万トン以上のゴミが撤去されるに至っています。
私たちの取り組みはまだ始まったばかりです。Plug and Playは、2030年そしてそれ以降も、SDGsの達成に向けて、引き続き大手企業とスタートアップの協業を促進し、画期的で持続可能なイノベーションを加速させていきます。